原版を凌駕している!
★★★★★
以前に原版である"ki-43'Oscar'Aces of World War 2"のレビューをした際に、いくつか問題点を挙げましたか殆んど解決されています。
OSPREY原本では一式戦の戦歴に触れた部分は5章立て、88ページでしたが、大日本絵画版は10章立て、124ページと大幅に強化されています。 この本はエースシリーズと扱われていますが、実態は一式戦のほぼ全歴とも呼べる内容です。
強化された部分は敗戦間近の東南アジア地帯、ニューギニア戦線、大陸戦線などです。 英語版に掲載されていなかった日本海軍の戦果報告と、実戦果に関しても触れられており興味深い内容です。 撃墜された連合軍のパイロット名も明記されております。
しかし、まだ問題点が存在するのも確かです。上記にほぼ全歴と述べましたが、44年4月以降のニューギニア戦、本土防空戦における戦いが完全に割愛されています。
42年12月26日、ブナ上空で一式戦2機が撃墜され、全て米陸軍戦闘機の戦果とされていますが、同空域でオーストラリア空軍のワィラウェイが零戦(一式戦の誤認)を撃墜したのには触れていません。 ニューギニア戦の戦果照合統計数が、撃墜した筈の数機が含まれていない。数自体が間違った物があるなどです。
43年1月27日、11戦隊は339FSのP-38を2機、68FSのP-40を2機撃墜したとしていますが、実際は更に44FSはP-40を2機撃墜され、他に各1機不時着と被弾しています(後者は69発被弾)。
値段は高めですが、ニューギニアや大陸のフライングタイガースとの戦いを戦果照合した内容だけでも珍しいので、買っても絶対に損はありません。
著者の次回作である「海軍戦闘機隊撃墜戦記」に期待しています。