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虚構戦記 研究読本

価格: ¥2,730
カテゴリ: 単行本
ブランド: 光人社
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著者の長所と短所がよく出てます ★★★☆☆
10年前に出版された本の改訂新版です。いろいろな意味で著者の長所と短所が出てます。

長所は、世間で乱発されている架空戦記や世間一般で言われている通説を批判していることです。
「真珠湾に追加攻撃すべきだった」「ハワイを占領すべきだった」「レイテ沖海戦で栗田艦隊が
突入していれば」といったIFは歴史研究家の半藤一利氏や保阪正康氏も主張しているので
批判することには意義があると思います。また日本軍の批判だけでなく大戦中の米軍の短所も
指摘・批判しているのも公平だと思います。

短所は、(参考文献を見れば分かりますが)改訂再版した本であるのに著者がこの10年程の
最新の軍事書籍で判明した「事実」をほとんど調べておらず、軍事知識が古いままであることです。

戦車関連でおかしなところをピックアップすると、
第二次大戦勃発時には世界各国でも戦車は「歩兵支援」が常識だったのでそれをもって日本軍が
旧弊だと批判するのはおかしい。日本軍の戦車ドクトリンはドイツをベースとしたもので
各国と比較して別に旧式ではない。日本の機械化部隊(独混第一旅団)の設立は1934年であり
列強と比較しても遅くはない。日本戦車がディーゼルなのは燃料節約ではなく撃破時に火災が
発生し戦車の回収・修理が不可能になるのを阻止するため。97式中戦車は登場時には
世界水準の性能。
などなど。

北村氏のファンからは「何でいちいちこんなあら捜しをするんだ」「北村氏の主張や態度は
正しいから批判するな」と批判があるかもしれませんが、上記の事実はここ10年程で出版された
書籍やネットで調べればすぐ分かることです。
2009年にもなって「副砲塔は大和の弱点」と堂々と書いてあるのはどうかと思います。
渡辺洋二氏は本を改訂するたびにきちんと最新の情報に増補してます。