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スズキのインド戦略―「日本式経営」でトップに立った奇跡のビジネス戦略

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中経出版
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副題が本の内容に相応しい ★★★★☆
この本は「スズキのインド戦略」を描いたものとは思えない。むしろ副題の「日本式経営でトップに立った奇跡のビジネス戦略」が内容として正しいと考える。この主題は日本マーケットを意識したものではないか、と疑ってしまう。
但し、内容には大変満足である。「公営企業としての制約、インド特有の社会制度、国民性、そこに日本式経営を持ち込み実践したバルガバ氏」は間違いなく尊敬に値する。
現在、日本の製造業は中小企業に至るまで、次々と工場を海外へ移転している。これらの海外展開は大変な困難を伴うが、なかでもインドは日本人には理解が難しい国であり国民性だと、しばしば耳にする。
この本において、それが理解できたし、また逆にそれを日本式経営により克服、それもインドの方がなされたことを知り強く感動を覚えた。
スズキ、というよりも鈴木会長はすごい ★★★★☆
2005年におけるインドでのマルチのシェアは55%。
二位の現代が16.6%、民族系のタタが15.9%、ホンダ4.3、フォード2.9と圧勝です。(トヨタは1%に過ぎません)

インドという社会主義国家においてなぜこのように突出した成功を収めることができたのか大変に興味がありました。

本書を読めば、なるほどそれは当然の結果なのですね。スズキの鈴木会長の慧眼とその真摯な努力には敬意を示さずにはいられません。無論、著者は「インドではマルチの努力より成功のほうが大いに囃された。スズキをモデルとしたマルチの方法論は、自動車業界に限らず、そして製造業に限らず、広く応用が効くはずであるにも関わらずだ」といいます。そうですよね。ここに至るまでの努力、労苦は並大抵のものではなかったと思います。

そう思って感想文を書いていたら、何と今週号の「日経ビジネス」(2007年2月19日号)に「スズキ、脱インド流の新工場」とありました。2月6日にスズキは第2工場を稼動させたのですが、その特色として既存工場の色を徹底的に排除し、日本の最先端のスズキ流を持ち込んだというのです。

この記事によれば、第一工場は政府主導でスタートした関係で、労務管理や供与体系などスズキがタッチできない部分が今でもあり、官僚的で旧国鉄のような雰囲気なのだそうです。

しかも本書では苦労して育成したとある部品メーカーも「直行率(手直し無しに出荷できる率)が低い」とスズキの副社長のインタビューを載せています。

そして、ホンダが第2工場を、トヨタが販売価格80万円程度の低価格車の投入を決め、韓国勢は最新モデルを持ち込むという情勢になったため、「全面戦争」という認識で新工場に命運を託したとあります。

なるほど、本で読んでいるだけではわからないですよね。インドの自動車産業については目が離せませんね。

とはいえ、やはり鈴木会長はすごいと思うのです。常に先を見て、そして人心掌握が上手ですよね。国内同様インドでも関係者の心を掴んでいるのですから。(鈴木会長を信奉する国内ディーラーは多いといいます。スズキとダイハツでは最近ではダイハツの方が出来がいい車が多いようですが、それでもスズキが売れているのはそのあたりに理由があるようです)
現場で考える。徹底的に。その決意があるか? ★★★★☆
現場で見、現場で考える。それをきちんとやれば、どんな地域でもやっていけるということだ。その気構えがあるか、進出する前によく確かめる必要がある。うまくいった事例からテクニックではなく、心構えを学んでほしい。
スズキvsインド政府 ★★★☆☆
カースト制度、国内部品メーカーやディーラーの育成、政府の条件など
様々な問題がありながらも、スズキの懸命な努力によって解決していく。

今では市場の約半分をスズキが占有し、2位の現代を大きく引き離す。
最近トヨタも本格的にインド自動車ビジネスに参入しきたので、今後の展開がますます注目される。