実際に研修指導にも携わってきた著者らしく、第3章にはさまざまな状況設定のシナリオが詳細な解説付きで紹介されている。「かつては上司であった部下」「お調子者の部下」「やる気の見られない部下」など実際にありそうなケースばかりで、役に立ちそうだ。1章と2章では「叱り」の目的と本質、注意点があらかじめ説明されているので、読者はシナリオにとらわれることなく、それぞれに合った叱り方を発見することができる。
コーチングの基本理念は「人間の個性を尊重し伸ばしていく」というもの。本書でも「ほめる」ことを「叱る」ことと同格にとらえ、両者のバランスがとれてこそ効果的な指導になるとしている。相手を一方的に責めたり人格を攻撃しても、人間関係にしこりを残し円滑な業務を妨げるだけなので、これは理にかなった考え方といえよう。他人を叱るのは決して楽しいことではないが、本書で効果的な叱り方を学べばストレスを軽減できるだろう。(工藤 渉)
数あるコーチング書のなかでお勧め出来る一冊です。
なにより、実例が豊富。
会話形式の実例が満載で、わかりやすいし、共感しやすい。
ああ、そういえば、こんなことあったよなあ。
と、自分の行動、言動を客観視できるから、それだけでも、いらいらした気持ち、気まずい気持ちをやわらげることができる。
で、「悪い例」「よい例」という対照的な例示の仕方で書かれた例もたくさんあるから、ますます、自分の行動、言動を客観視して、クールダウンすることができる。
コーチングの技術のマスターが、本を読むだけでできるかどうかは疑問としても、読むだけで、気持ちがいやされるなら、費やしたお金と時間から見て、安すぎる。
状況設定も、酒の席あり、会社でのいろいろな場面あり、営業での出来事あり、学校の教員間での話だったり、もう、いろいろ。
さらに、感情にふりまわされないマインドコントロールのやりかたとか、気持ちを落ち着けるための飲み物やグッズにいたるまで書かれていて、もう、いたれりつくせり。これらを試してみるだけでも、即効性がありそうだ。
要所要所に書かれた「ポイント」、「まとめ」の2つで、要点を確認することができる。じつに、よくできた本ですよ。
文章も、とても穏やかで、読んでいて、なだめられているような気持ちになる。
実は、この点が、この本を読んで一番気に入った点だったりする。
カーっときたら、この本を開こう。
自分も含めて、何かとムカつく傾向がある人には、必読書かも知れない。