―そこはちょとした地獄だった。この真夏のさなかだというのに、窓は閉め切ったままで、冷房も入っていなかった。
　なにより部屋の真ん中には死体があった―

広島で有数の名家である秋津島家に呼び出された弁護士の穂積晃。
そこには当主秋津島一郎の死体と突き刺された槍があった。
娘の秋津島紅葉の弁護に当たるが、一郎の兄弟が順に殺されていく。
その一方で、弁護士の間で暗躍する『弁護士キラー』の噂があった。
公判前の弁護活動、刑事責任能力、精神鑑定を描いたミステリー・リーガルサスペンスの長編作。
※一般的には中編サイズとされる約66,000文字です。