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元年者たち: 明治元年にハワイ王国に連れ去られた日本人百五十三人の物語

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カテゴリ: Kindle版
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 明治元年四月二十五日、百五十三人もの日本人がハワイ王国へ連れ去られるという一大事件が発生した。

 事件の張本人は「在日本ハワイ王国総領事」を名乗るユージン・ウェン・リード。通称ベンリュウ。
 ベンリュウは江戸幕府から下付された百八十人の渡航免状の再下付を新政府に申請していたが、当時の日本は戊辰戦争の最中にあり、新政府軍は上野に立て籠もった彰義隊との決戦を目前にしていたため、ハワイ王国への出稼ぎ計画など微塵の考慮の余地も無い切迫した状況にあった。
 業を煮やしたベンリュウは「天竺出稼ぎ」に応募し審査に合格した百五十三人の日本人を移民輸送船サイオト号に乗船させ、渡航免状の下付と出港許可を強く要請した。だが明治政府はこれを無視した。
 ベンリュウは無許可のままサイオト号に出港を命じた。
 渡航免状なしにハワイ王国に連れ去られた日本人は砂糖黍耕地の重労働にあえぎ、鞭打たれ、一年を経ずして三人が死んだ。
 奴隷解放戦争を経験したアメリカ社会はこの問題に大きな関心を寄せ、国際社会は倒壊した幕府に代わる新政府に処理能力があるか否か、冷ややかに見ていた。

 難問解決の成否は、日本人出稼ぎ人総元締め牧野富三郎、新政府外国事務局判事寺島陶蔵、この二人の肩に掛かっていた。