俺ism
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俺は、21のとき、交通事故に遭い、3ヶ月間意識を失った。奇跡的に、意識を取り戻し、今これを書いている。
今、日本全国の中に、障害者と呼ばれる方々はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。内閣府の統計によれば、日本全国で九百万人弱はいらっしゃると言われています。日本全国で日々、仕事や家事に追われる忙しい毎日を送ってらっしゃる皆様「健常者」と呼ばれる多数派の皆様は一度でも考えたことがありますでしょうか?
私も、そんな一介の大学生でした。しかし、自分が障害者になってから、バリアフリーのほうに意識がいったり、自分へのやや差別的な視線があったりすることに気づきました。その中でも、私の母が一番の差別主義者でした。私は、母の言葉を聞いて「障害者になってしまったら俺はこの人の息子じゃないのか」と悲しくなったこともありました。
自分が障害者になるなんてありえない、生産性のほうが大事だ!と考えていらっしゃる方のなんと多いことか。明日、交通事故にあって半身(はんしん)不随(ふずい)の状態になってしまったら…なんて考えたことがある方はどのくらいいらっしゃるでしょう。いや、そういったことを考えている時間もないくらいお忙しいのかもしれません。私もそうでした。生産性のほうにばかり目が行っていて、インクルージョン(社会的包摂(ほうせつ))思想なんて無縁の世界で小さな優越感(ゆうえつかん)に浸っておりました。そして、遊ぶ金欲しさに安い時給でアルバイトを精力的にこなしていた時、自損事故により脳(のう)梗塞(こうそく)を起こします。
1章では、私が精神障害者になった経緯をお話しします。2章では、精神障害者になってしまった後のお仕事について書きます。3章では、そもそも障害者になってなくても必要な私が重要だと感じた生き方についての話を書いています。もしかしたらここが一番大事なので、ここだけ読んで後はすっ飛ばしていただいてもかまいません。4章では、障害者になってから感じた生きづらくなったポイントをお話ししています。5章では、これまでにお会いした同じ障害を持っていて頑張っている方々の事例をお話しします。あとがきで、私が生きてきた中で大切だと感じたことについてまとめています。
今、健常者と呼ばれる方々も過労や職場環境の悪化、不慮(ふりょ)の事故などで精神障害者になってしまう可能性はあります。今から、普段意識していない障害者に意識を向けてみませんか? 本書がそのきっかけになれたら幸いです。
目次
はじめに 俺ism
1章 私が障害者になった経緯
2章 障害者雇用でない生き方
3章 私が毎日笑顔でいられるようになった理由
4章 私が生きづらいと感じた事
5章 私の知り合いの事例
終わりに 人生は一生勉強・役割を持つことの大切さ
著者について
東京生まれ関東育ち。大学3年生の時、就職活動・クラブ活動・アルバイト・大学の単位と度重なる苦行のような多忙なスケジュールをこなしていた。その頃、両親の不仲が顕在化していた。母と仲たがいして食事をコンビニの廃棄の弁当などで賄っていたとき、4連続夜勤の次の日の昼間の仕事に入りクレーム処理で急いでいたときに自損事故を起こし入院。3か月ほど生死の境をさまよい、意識が回復してから鬼のようなリハビリと大学の資料の読み込み等で意識不明期間含め9か月で退院。1年間の休学期間含め大学卒業。同時に東京福祉専門学校の精神保健福祉士一般養成科入学。精神保健福祉士の資格は取得したものの、2年間で3つの事業所を渡り歩き、いろいろな人に会っていろいろな考え方を学ぶ。2016年6月からハンディスマイルとして相談援助からガイドヘルパー、不動産オーナー、外国為替証拠金取引(FX)など幅広い分野で活躍する。