非常にまっとうな書
★★★★☆
何十年も山里でコメ作りで暮らしてきた田舎者です。しかし、暮らしを支える基礎的な技術が十分に伝えられていないことで、自身の暮らしを含めてもどかしい思いをしてきました。
この本では、第一に水がどこからきてどこへ行くかという、隣に暮らす人への配慮から始まり、自己完結しながら他者と分かちがたく結びついて続けられる山里の暮らしを、すみかの基礎となる石積みの技法や、住まいの維持、燃料の確保、火を暮らしの中で保つ技術など、腰のすわった情報がていねいに又、わかりやすいイラストとともに述べられています。
年寄りから聞き洩らした得難い技術を、このような形で聞きなおすことができることは、とてもありがたいことと思います。
お盆休みで帰省した息子に読ませましたが、ちょっときれいごとに過ぎるかという感想でした。確かに実際の山暮らしは、もっと泥々で汗まみれですが、それを文字にしてもらっただけでもありがたいことです。
願わくば、山里で暮らすかもしれないと考える人々の、最良の参考書に数えられる書となってほしいと思います。