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市場社会の思想史―「自由」をどう解釈するか (中公新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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単なる経済学史 ★★★☆☆
基本的には経済学史の本です。自由云々の議論はあまり期待しない方がいいです。

とはいいつつも、どのように経済学が発展してきたか、ということがよくまとまっていると思います。
高校生ぐらいの方が読むと、とても参考になると思います。

思想とその背景がコンパクトにまとまった良書 ★★★★★
放送大学での講義のための、テキストだったということを知らず。
読破して、あとがきを見て、気づく。
45分の講義のために、15の章が、コンパクトにまとまっていて。

アダム・スミス、マルクス、ケインズなどといった、おなじみの名前から。
ヴェブレン、ポラニーなどの、「そういえば大学で教わったな」、という人たちも。
時代の流れに沿って、偉大なる経済学者の思想を、「自由」という観点から、論ずる。

ちょうど、自由についての考え方の進化を、頭の中で整理したいな、と思っていたところだったので。
大変に便利な、一冊。

思想は、ただそれのみで存在するのではなく。
何らかの悩みや、問いかけがあり。
それに対する答えとして、存在するわけであり。

ただ思想についてのみ、解説されても。
それは、表面的なものでしかないのだが。

本書では。
ただ単純に、彼らの思想をまとめるだけでなく。
彼らの生きた時代背景と。
彼らがその時代の中で、どういった問題意識を持っていたのか。

その説明がありつつ、彼らが到達した思想について、まとめられていて。
極めて納得的な上、大変勉強に、なりました。

新古典派や、マネタリストや、合理的期待学派の言うところの自由放任主義が。
何故特定の階層の利害を背景に、自由を主張するのか。

古典派の、自由主義が。
なぜそういった、自由放任主義と、一線を画すのか。




時代との格闘のなかで生まれた、問題史としての経済思想史 ★★★★☆
アダムスミス以来の経済思想の変遷を、市場社会の問題史として捉えて解説した本。スミス、ワルラス、ポラニー、ケインズ等々、その時代の革新的な経済学者が呈示してきた経済思想とその社会背景が簡潔に述べられています。

そして、それらの優れた経済学者たちの思想が、時代との格闘の中で現実の観察と哲学的思考を基盤として生み出されてきたこともまた、よく理解できて、現代という時代を問う人ならば、それら先人の著作もきっと読みたくなるに違いありません(ほんとに読むのは大変ですが)。

この本の副題は”「自由」をどう解釈するか”となっています。著者は自由という言葉の多義性は承知しつつ「経済思想史の歴史は「自由」をめぐる諸派の葛藤の歴史だったといっても過言ではない」と述べていて、とても面白いと思いました。この視点は、経済学の普遍的基盤を、単なる生存や損得よりも、精神的存在としての人間の本質により深い部分にかかわる「自由」という概念に求めることになるからです。理論化するのは大変そうだけど、その進み行きが楽しみです。
薄いけれども、中身の濃い良書 ★★★★★
タイトルにもあるように経済思想史の本。
ページ数も180くらいで、新書の中でも薄い方です。

しかし、その薄さとは裏腹に、中身はとても濃いです。
通常の経済史の本と違い、人ではなくて思想を中心に据えています。
そして、その思想がどういう問題に取り組み、どのように解決させようとしたか、が丁寧に書かれています。

本書は放送大学の講義を起こしたものだが、こうした講義をリアルタイムで聞いてみたいものである。
問題史の経済思想史とはなんだろうか? ★★★★★
私がとある公立大学の学部演習のテキストとして選んだのが本書である。「人物」を中心に組み立てる通常の経済学史のテキストとは異なり、「社会主義」、「功利主義」、「貨幣」、「市場と計画」といった経済学における重要な「主題」(テーマ)を時代ごとに扱っている。あとがきによれば、「本書がめざしたのは・・・いわば問題史としての経済思想史である」。この「あとがき」には著者の思想に対するスタンスが明快に語られており、大変参考になった。偉大な思想家が「問いかけた問題の大きさと切実さが、彼らの思想を多産的な思想としている」のであり、「本書で取り上げた思想家たちは多かれ少なかれ市場社会の変化が生み出した問題と対決し、時代との対決のなかから自らの思想と練り上げている」とある。単なる机上の空論ではない生きた思想の歴史が綴られているのだ。もともとは放送大学での45分講義をもとにしているために、内容にやや物足りなさを感じることは否めない。スミスの箇所で扱われた「体系の人」批判をハイエクが現代的に再生した議論やスラッファによるリカードの客観価値論の復権など、現代とのつながりをより強く意識した構成もありえたであろう。それができなくともせめてシュンペーターの思想と理論には言及すべきではなかったろうか。とはいえ、本書はそれ自体として十分に魅力的な思想史を構成しているように思われる。第10章の「ケインズ革命」に連なる、「不確実性と期待」(第11章)と「貨幣について」(第12章)、そして「経済学における自由の思想」(第15章)はとくに印象深い。ケインズ理論に込められた思想・哲学を的確に描き出しているからだ。理論、思想あるいは哲学との豊かな協奏曲が奏でられているといえば大袈裟か。「市場社会の思想史」という本書のタイトルからも、経済学とは本来は「社会」と密接不可分な関係にあることを想起させられる。お薦めの一書である。