膨張外交の意義とは
★★★★★
後藤新平の思想を探りながら現代にも通じる外交のあり方
を問う。
そのスケールの大きさとしばしば飛躍し過ぎる理論のせい
で理解しにくい後藤新平。著者は台湾民政長官、満鉄総裁、
東京市長など彼の仕事から共通項を抽出し、外交の一つの
理想形を示している。
後藤の行動の根底には「生物学的思想」「文明化」が常にあっ
た。これは彼の外交スタンスであると同時に、当時アジア
の中で唯一列強に名を連ねた日本の役割としては常識的で
あると同時に理想形に思えた。
大局眼も人脈も人気もあった彼が政界主流になれなかった
のは、彼の非妥協性故であろう。しかしそれ故に彼の示し
たビジョンは今日もなお輝くのである。