大きな社会変動のなかで伝統的な管理職像が通用しなくなっている今、管理職に求められるのは、「新たな指針を示し他者を巻き込んで未来を切り開くリーダーシップ」だというのが著者の主張である。本書は、様々なリーダーシップ論を紹介しながらこの能力を立体的に捕え、豊富な事例とすりあわせながら、現場で活用できるよう工夫がされている。
　高度な内容だが、身近な事例から説き起こし、図解を多用することで、わかりやすく明解にまとめられている。各節の終わりに配された「POINT」「振り返り」は、読者が各自学んだことを現実に生かす際に大きな手助けとなるだろう。理論の紹介だけに終わらず、実践へとつながる書に仕上がっているのは、著者のリーダーシップ論への造詣の深さとともに、８０社を超える企業で働く人々と「ともに考え、探求し、議論し、実践してきた」という経験の賜物にほかなるまい。
　現在管理職にある人のみならず、これから管理職をめざす若い人達や管理職を育てる立場にある方々にも、得るところが大きい１冊だと思う。

さすがは、W大学ビジネススクールの教授職を務められているだけのことはあります。
リーダーシップについての本は、有名な経営者の方が書かれたものをはじめ、
歴史的なものから現代にいたるまで、山のような数の良書があります。

しかし、あとがきにも書かれているように、モチベーションとか、コミュニケーションとか、
リーダーシップの１側面について説いたものが大半で、体系的にまとまったものは
少なかったのではないでしょうか。

この本は、著名な本の要点を取り入れるだけでなく、簡単な物語形式の実例や、
自己診断テスト、わかりやすい図解、各章ごとのまとめ、など、
とてもよく整理され、計算されたテキストになっています。

管理職になって部下を持つと悩みます。そんなときに本屋に行くと数多くのマネジメントやリーダーシップに関する本が書棚にあります。そんな本を読んでみると「なるほどな」と思うのですが、それだけでは自分の悩みが解決しないことが多かったのです。この本は、タイトルの「管理職の心得」、「リーダーシップを立体的に鍛える」というサブタイトルがぴったりの内容でした。管理職・リーダーが知っておくべき知識が体系的にまとまっていました。こういうタイプの本は初めてでした。多くのリーダーシップ本は、著者の成功体験や持論をベースに書かれていますが、すべての組織・状況に当てはまるリーダーシップなどないのだと思います。したがって、我々管理職は、本書で管理職・リーダーが知っておくべき知識を理解した上で、各種リーダー本や自分で考えることで悩みへの答が見つかると思います。悩んだら読む！！薦めます。