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チャリオ (角川ホラー文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:雀野日名子/〔著〕 出版社名:角川書店 発売所名:角川グループパブリッシング(発売) シリーズ名:角川ホラー文庫 Hす2-2 発行年月:2009年09月 関連キーワード:チヤリオ カドカワ ホラ- ブンコ ス-2-2 ちやりお かどかわ ほら- ぶんこ す-2-2、 カドカワシヨテン カドカワグル-プパフ 0946 かどかわしよてん かどかわぐる-ぷぱふ 0946、 カドカワシヨテン カドカワグル-プパフ 0946 かどかわしよてん かどかわぐる-ぷぱふ 0946 塾講師・光一のアパートの部屋の前が泥だらけになった。周囲には不自然なタイヤ痕。彼は泥の中に金属片を見つけ驚愕する。“challio 0914”。10年ほども前、自転車で出かけたまま行方不明になった、男児の自転車のエンブレムだった。隠してきた秘密が、光一を苦しめ始める-。亡霊自転車の怨念と、過去にとらわれ続ける人々の深い苦悩。第15回日本ホラー小説大賞短編賞
他の人の解釈を知りたい ★★★★☆
前作「トンコ」が強烈に印象的だったので、読んでみました。
「トンコ」ほどの奇抜さはないものの、
恐怖ホラーというより、不気味ながら哀しい通底音の流れる、
家族ミステリーという感じでした。

「家庭の何ぞや」を知らないまま家庭を持った、アダルトチルドレン的な両親。
家族の大切のしかた、家庭の愛し方を知らない二人によって作られた、
形ばかりの家は、10歳の息子の神隠しで完全崩壊します。

ばらばらで噛み合っていない家族ですから、たとえば、
父親のとある行為が母親視点ではAとして描かれ、
娘視点ではA'として映っていたりします。
結局AだったのかA'だったのかは明記されておらず、
読み手側で想像しろとのことなのかも知れません。
絆のない家族間では、家族どおしの感情は推測しあうしかない、
という皮肉のようにも感じました。

「トンコ」のテイストと異なりますが、
じわじわと押し寄せてくる強い読後感や、
感情面でのドンデン返しは、共通しているように思いました。

ラストでこの家族が見たものは何だったのか、この家族は幸せになれるのか。
文中の様々な仄めかしも含めて、他の人の解釈を聞ききたくてたまらない作品です。
解釈の手助けをしてくれる文庫解説がないので、誰か教えて!と悶々……。
評価する点・しない点 ★★★★☆
評価する点:
1.丁寧な心理描写
2.巧みな伏線使用
3.ラストの驚き
4.一晩たってから効いてくる余韻

評価しない点:
5.読み手の想像力に委ねる点が多いこと


強い余韻を残すこのラストは、予想が付かなかった。
この終わり方をどう解釈すればよいかも分からない。
巻末解説がないので余計に解釈に悩む。
その他の部分でも、伏線から読者に想像、
解釈させる箇所がかなりある。
そうした想像が好きな人には最適だが、
明確な回答を求める人には些か不満が残ると思われる。

静かな狂気に陥っていく母親、
孤独のあまり破滅していく妹、
落ちぶれた父親とその部下との擬似父子の会話。
悲しみのあまり幽霊から怪物へと化した自転車。
このあたりの描写が良い。
(自転車の行動理由とその正体判明が終盤で判明、
当方の予想が外れ、少々騙された)

好みが分かれそうですが ★★★★☆
ノベライズライターの時に知った作家さんの、
オリジナル小説です。
「あちん」と同じく、
地方を舞台にした連作ホラーと聞いて、購入しました。

前作「トンコ」は奇抜だけど、
ホラーという感じがしなくて、
あまり好みではなかったのですが、
これは面白そうかな……と。

ことごとく破滅的な鬱展開で、
正直ドヨーンとした気分になりました。
けれども通底音のように各章に漂う共通の謎が、
最後まで読まないと解けないため、読みました。
そして「ええーっ?」と。
(この展開は予測できなかったです)

「あちん」と「ぞんび団地」が好きな人だと、
楽しめるんじゃないかと思います。
余韻の残る、切ない話でした。
ただ、解説のないのが残念でした。
トンコ程のインパクトはないけれど ★★★☆☆
前作の「トンコ」収録作の「黙契」と比べると同じ喪失した家族の物語として読むとかなりトーンダウンしている。
ただ長編になった分、細部の描写が丁寧に書かれているように感じた。
チャリオという自転車の存在は最後まで全てが開かされることなく、謎めいた部分が多かったのが不満点か。
次回作に期待したい。
読後はカバー絵を熟視すべし ★★★★★
久々にレビューしたくなった1冊。

10年前に自転車を残して消えた少年。
少年が失踪する原因を作った友人、少年失踪後に気が触れた母親、孤独な父親、少年を憎み続けていた妹。
彼らの前に1台の亡霊自転車が現れて歯車を狂わせていくという、連作短編形式の長編。

けっこうどこにでも存在しそうな、一見幸せに見えるが実はそうでもない家庭。
少年失踪後に崩壊した家族は、亡霊自転車との出会いで、少年失踪前後の記憶と対峙させられる。
「なるほど、そういう少年だったのか」と読み進めていたら、段々と薄ら寒くなってきた。

この少年の本当の顔は、何だったのか。
なぜ高笑いして失踪したのか。
平凡な日常生活描写の数々は、実は細かい伏線になっている。
それらの伏線が繋がった時、謎が明らかになる。

ホラーとは、ホラーらしい設定とガジェットがあってこそ成立するものと考えていたが、
こんな平凡な日常世界の話でも、切り口によってはホラーになるんだなと少々驚いた。
あるいは、我々の日常生活自体は実はホラーで、我々がそれら気づいていないだけなのか、なんてことも考えた。

読後はカバー絵をじっくり見るべし。
少年の顔の意味が分かる。
ちょっとウルルときた。
ラストが賛否両論わかれそうなので☆4つだが、カバー絵に免じて☆5つ。

きゅり、きゅりりり。