地域金融機関の進むべき道を示唆する名著
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まず、バブルが崩壊し、土地神話が崩れ去ったとき、これまで担保主義で右肩上がりに増やしてきた貸付金は、焦げ付き、収益源を失いつつある地方銀行に、不良債権を清算した都銀が容赦の無い攻勢をかけてきている現状が語られる。チキンレースと本書で言うところの金利競争は、明らかな消耗戦である。ボリュームが、増えても収益は減少の一途という現実。では、どうすればよいのか?本書のテーマは、そこにある。
保証協会保証に頼らず、プロパーにてリスクは取るべし。トラバン、リレバンの違いは、顧客が一高二低を望むか否かである。トラバン先のコストは抑えよ。また、デフォルトもボートフォリオの範囲内であれば、良しとする。ただし、リレバン先には、十分なコストをかけて、それに見合う高い収益を確保する。それを顧客も納得する相互信頼関係を構築すべし。顧客のニーズは、資金ニーズではなく、経営ニーズである。WIN・WINの関係を目指すべし。そのためには、これまでの地域金融機関のビジネスモデルそのものから、見直しが必要である。
読みながらうなづくこと間違いなし。目からウロコの落ちる思いとはまさにこのことである。本書は、地域金融機関のこれからのあるべき姿を示唆する名著である。銀行関係者、特に銀行経営者、営業推進および企画部門関係者は、必読の一冊である。