スゴい仕組みの持続可能性は?
★★☆☆☆
「フラガール」を製作したシネカノンは2010年1月民事再生法を申請しました。確かに「フラガール」が単体での成功例であることに違いはありませんしシネカノンの破たんは経済不況によるところも大きいでしょう。しかし、本書で語られている内容が斜陽といわれて久しい映画産業を持続的に支える「スゴい仕組み」であるかどうかは疑問が残るところです。
ファンドの仕組みを映画に適用した事例
★★★☆☆
投資ファンドは、投資に対するリターンが得られる分野を日々
探しています。本書は、映画に投資した場合を例にファンドの
仕組みを紹介してくれています。
映画というコンテンツ業界は「旧態依然としたシステムで回って
きた業界」であるだけに、新しく資金を供給できる仕組みを導入
すれば今後発展の可能性が大きいとする著者の主張には頷く。
また、「本当に良いコンテンツは、文化的な面からスタートする」
点についても同意。いかに採算やビジネスの面で支援するか、
その一役をファンドが担えるのか、主流の「製作委員会」では
駄目なのか、について考えるためのヒントをくれる本と言えます。
ただ、結局は良いコンテンツの目利きが大事で、それは仕組みでは
保証できないようですね。リスクは回避できそうだけど。
なお、コンテンツ業界の構造が分からないと、本書は理解しにくい
でしょう。以下の書籍などで事前の予習をお勧めします。
松尾里央;『あの映画は何人みれば儲かるのか?』
中野明;『コンテンツ業界の動向とカラクリがよくわかる本』
スゴイ薄っぺらな内容
★☆☆☆☆
映画ファンドの仕組みは、わかる。ただそれだけ。個人で遊んでいる金が2000万円以上あって、映画に投資したい人が基礎知識を得るには良いかもしれないけれど、別に日本映画の未来に希望が持てるわけでもない。
映画『フラガール』の資金調達手法における映画ファンドとは
★★★★☆
『フラガール』の素晴らしさに胸を打たれ、感涙とはこのようなものか、と思いながら観た映画製作の裏には、このような映画ファンドという資金調達の仕組みが存在していたのですね。
筆者の岩崎明彦氏は東京大学法学部を卒業後、外資系金融機関に勤め、企業のM&Aを始め、金融ビジネスに関わってきた方です。映画やショービジネスの世界とは無縁に過ごしてきたため、最初は映画界で使用されている用語からして分からないことが多かったとのこと。
第1章で、『フラガール』の製作までのエピソードが書かれており、試写会で涙を流しながらメモをとる女性記者のエピソードや、日本アカデミー賞を始め、映画賞を総なめにした話が書かれています。
第2章以下では、日本ではまだ馴染みのない映画ファンドについての仕組みを解説しています。
従来の映画は、配給し興行する過程において、観客動員によって得られる入場料とそれ以外に2次利用としてのDVDやテレビ放送の権利などが主な収入源でした。水モノですので、ある意味ではバクチ的な要素が強かったわけですが、ファンド組成に関わった筆者は、『フラガール』の製作会社であるシネカノン社が、製作し配給する20の作品に対して、45億円を出資するという手法を生み出しました。
リスク分散の手法を用い、安定的な資金調達を行う仕組みとしては、他のファンドでも同様の仕組みが存在していますが、映画界では始めてで、新しい可能性の追求として面白く読ませていただきました。映画ファンドという聞きなれない資金調達の世界を分かりやすく説明した本ですので、興味を持って読んでもらえると思います。
映画ファンドの仕組みが理解できます
★★★★☆
アイドルファンドが大きく報道されたことがありました。新人アイドルのDVD、
グラビア雑誌に投資して儲かればリターンがあるというファンドです。
同じように蒼井優が主演した日本映画 フラガールをファンドにしたて上げた
著者がファンドの仕組みを詳しく説明をしています。
大好きなシナリオを事前にみることができて、夢を買うつもりでつい映画に
投資してしまいそうな一冊です。