もしも私が家を建てたなら
★★★★★
主人公は長田真理さん。30代の独身OL。
冬のある日、アパートの階段が凍っていた事に気付かず転落、怪我した所から物語は動き出す。
『こんな所から一刻も早く出たい、このままじゃダメだ!!』。
結婚すれば幸せも手に入るはずだし、アパートからも脱出が叶うから、
と見合いをセッティングしてもらう。が、見合いとは知らされず連れて来られた相手の建築士の男、
どうやらゲイのようだ…。それに肝心の自分自身が、本気で結婚を求めてないぞ!
気付き驚き、真剣に考える真理さん。一つの答えに辿り着く。
『私が本当に欲しいのはホッと出来る場所。そうか、自分の家が建てたい!!建てて、いい?』。
いざ行動を起こしてからも、モデルハウスで【独身女性】に対しての残念な現状を思い知らされたり、
見合い相手だった建築士さんの事務所では、理想の家を語り合うも、
予算の現実で悩んだりと中々に忙しい真理さん。最初の情けなさが嘘の様に、例え一度位、
周囲に反対され様と、どんどん自分の考えや意見を持ち行動的になって行くのがカッコいい。
逞しくなる彼女に周囲も感化され…。果たして彼女の家の完成形や、如何に!? 自分の居場所。
家族や友達との関係について。自分ならば?等と思いつつ読める内容の詰まった本。オススメです。
独身女の居場所探し
★★★★☆
漢方やPMS(月経前症候群)など
女性特有の悩みや興味深いテーマを扱うのがうまい中島たい子さんの新作。
今度のテーマは「家を建てる」です。
しかも独身の女性が自分一人で住むための家。
新聞の折り込みチラシに住宅の間取りのついているものがあると、
ついウキウキと「ここは私の部屋」「ここに犬をつないでおこう」などと
しばし空想の世界に浸ったことはありませんか?
独身女でも土地と建てるのに十分なお金や仕事があれば
家を建ててもいいはず。
なのに、どうして彼女たちが家を建てようとするとみんな驚くのだろう。
家は一生に一度の大きな買い物。
でもあまりにも大きな買い物すぎて、
妥協しなきゃいけなくなる部分が多いのも事実。
でも女一人なら、家族の都合は考えることはない。
きっと家族のいる人よりも自分の好みの素敵な家を建てられるのかも♪
この本の中で「家」は「自分の居場所」を表しています。
主人公の建てた家は不思議な形の変わった家・・・。
何とも似ていない、自分だけの家・・・。
家を建てるということで彼女は自分自身をも見つけていきます。
女一人でも何かができる・・・ちょっと勇気をくれる本でした。
いいとも!
★★★★★
自立女性の新しい生き方を模索する作者が、漢方薬に続いてたどり着いた答は、なんと『家』。や、やりますなあ。思いもつきませんでした。た、建てちゃいますか、家を…。家とは何かにまで立ち返り、私達の概念を揺さぶる。
モデルハウスで独身女性と宣言して気まずくなる場面は、痛い。痛くて面白い。ぷぷぷ。でも、周りのみんなを大騒ぎさせながらも、自分の居場所を見つけていく。ちょっとかっこいいかも。
併録の「彼の宅急便」も、短編ながら秀作。