知識として
★★★★☆
PMS(月経前症候群)のお話です。
といっても、小説仕立てなので、普通に仕事恋愛盛り込まれてて、一人の女性の日常の中に、PMSが組み込まれてる。そう、現実が描かれている。とっても共感しましたね。
そして、男性の登場人物、基樹くん。彼もまた、いい描かれ方をしてる。…というか私好み…なのかもしれない。
ちょっとコンプレックスをもってるような、人。好きです。
自分もそうだからだろうな。
こういうこと、なんにも知らない男性、こういう症状、まったくない女性、一人で悩んでる女性に読んでみてもらいたいですね。
もちろん、すべてそれのせいにしてはいけないけれど、知ってるのと知らないのとでは雲泥の差があると思うんです。
芝居の見得を感じさせる終わり方に不満
★★★☆☆
どこにでもいそうな登場人物でそれなりにリアリティがあって、会話のやり取りも楽しませてくれる。だけど、すべて生理前の不安定さが主原因とされるとそうなのか?と疑問も持つ。
難点は、最後、無理やり救っている書き方が気に食わない。そんなに前向きに克服できることなのかと言いたくなる。暗いまま終わりにしたくないという気持ちは分かるが。ちょっと説得力ないんじゃないのかな。しょせん、女性の生理は男には理解できないと言われればそれまでだが。
レッテルを都合よく使いつつも、レッテルを超えていくって戦略
★★★☆☆
「そろそろくる」ってタイトルから連想したのは当然ピンク・レディーの「カメレオン・アーミー」で、この本を読んでいる期間中、通勤路とか風呂とかトイレとか、気が付くと頭の中であの一節が常にリフレインしてた。ピンク・レディーはこの小説とは直接関係ないけど、“セクシー売りからスタートして、性差を超え、大人子供を超え、人類宇宙人さえ超えていった”彼女たちの存在は、小説の主題と実はオーバーラップしているような気がする。
30年も前、「わたし作る人、僕食べる人」ってラーメンのCMがウーマンリブ運動にケチョンケチョンに叩かれ、物議を醸し出したことがあったけど、“性差を意識しつつ意識しない”みたいな、禅問答みたいだけど、フラットな意識ってものが、ようやく根付きつつあるのだな、という予感をこの小説から感じた。今ならあのコマーシャル、なんの引っかかりもなく世間をスルーしちゃうだろう。扱ってる事象とか主題はそれこそ30年前の女流作家と変わんないんだけど、“女性”的感性ってやつを売り物にせず、逆にすべてをPMS(月経前緊張症)って括弧に括っちゃってるところが新しい。
「変な生き物だよね、私たち」っていう“女性”性を認めながらも、「女とか子供とか大人とか、そういうことを超えたもの。色々なことに左右されても、持ち続けているもの。そんなものを、絵で表現できたらいい」ってこころざし。
男と女、大人と子供、堅気とゲイジュツ家...ってのを昔みたいに対立項じゃなくて、単なる属性としてフラットに捉えなおすとこからスタートするってアプローチは、既成概念でがんじがらめの年寄りほど難渋すると思うけど、この小説読んで幼すぎるとかライトすぎるとか言わないで、今の時代の良さを積極的に見つけようとすることが大事なんじゃないかしらん。レッテルをある時は都合よく使いつつも、レッテルを超えていくって戦略は、生き方として悪くないよね。
生理前の精神的に不安定な状況が活字化された小説
★★★☆☆
生理前のあの感情の不安定な嫌な時期。
生理が始まると自分は復活してそんなに覚えてないのに、PMSのその様子を見た周囲が変化する。
「PMSなんです。」なんて言ってもまだ世間から認知度は低い言葉だ。
そんな症状を周囲に理解してもらうのにこの本はいいかもしれない。
毎月生理によってコントロールが難しい精神状況が理解してもらえるかもしれない。
ただ、1冊丸まるその症状の内容なので、生理に伴う症状がない人にとってはぐちゃぐちゃの内容に感じるかもしれない。
許してほしい、どうしようもないあの時期!
★★★☆☆
そろそろくる・・・あのどんよ〜りした気持ち。
どうにもならないイライラ。
けどこれは女の宿命。
このつらーい時期ともなんとかうまくやっていきましょう、
そんな開き直りを持てました。
男性方には、この本はついついあの時期にイライラしてしまう
女性達の“言い訳”と思っていただければ幸いです。
そして少しでも女の生理を理解していただければ・・・。
タイトルと表紙のドロドロしたかんじがなんともうまい!
前作の「漢方小説」といい、
中島たい子さんは毎回面白いところに目をつけてきますね。
なんだか力強い味方を得たようなかんじ!!
今後も女性の心と身体にトコトンこだわって、
私たちを癒してくれるような作品を書いてほしいです。