本書は、「授業準備」「科目の位置づけ」「授業の流れと展開」「学生との接し方」「理解度の確認」などの章に分け、24の授業評価項目に沿って事例を紹介しているのが特徴だ。例えば、「魅力ある授業展開」の章の「クラス・ディスカッションを奨励する」の項目をみると、「ディスカッションを促進するように教室内を動き回る」「学生の質問をほかの学生たちに向け直す」などのポイントとともに、教授たちの実践事例が掲載されている。イラストも挿入し簡潔に記述しているので、気軽に読み進めることができる。
米国の大学といえば、やる気と能力のある学生だけを相手にしていると思いがちだが、実際は「落ちこぼれをいかに拾うかということに努力を惜しまない社会」なのだという。それだけに、日本の大学教員が本書の豊富な実践事例から学ぶべき点は多いはずだ。また、大学だけでなく、小中高教員など教育関係者にも様々なヒントをもたらすに違いない。(清水英孝)