【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:山岸俊男/著 吉開範章/著 出版社名:NTT出版 シリーズ名:NTT出版ライブラリーレゾナント 057 発行年月:2009年10月 関連キーワード:ネツト ヒヨウバン シヤカイ エヌテイ-テイ- シユツパン ライブラリ- レゾナント 57 ねつと ひようばん しやかい えぬてい-てい- しゆつぱん らいぶらり- れぞなんと 57、 エヌ.テイ.テイシユツパン エヌテイテイシユツパン 0639 えぬ.てい.ていしゆつぱん えぬていていしゆつぱん 0639、 エヌ.テイ.テイシユツパン エヌテイテイシユツパン 0639 えぬ.てい.ていしゆつぱん えぬていていしゆつぱん 0639 信頼社会から、新しい安心社会へ?ネットオークションの仮想世界に見る近未来の姿と、山岸俊男「信頼の構造」理論の新たな展開。 第1章 安心社会と信頼社会(安心と信頼針千本マシン針千本マシンとしての社会制度集団主義的秩序集団主義的秩序のコスト個人主義
ひょっとすると著者の議論における大きな転換点になるのではないかとも思うのだが…。
★★★☆☆
『安心社会から信頼社会へ』(1999年 中央公論新社)の著者による、「社会秩序の作り方」について書かれた本。見た目からもっとお手軽な内容の本かと思っていたら、中身は意外と学術寄り。ただし専門書というわけでもなく、誰に向けて書かれているのかよくわからない本、という印象も受けた(『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』(2008年 集英社インターナショナル)の後半を面白く読んだ読者がもう少し本格的な本を探しているなら、本書なんか良いかも知れない)。
前半(第3章まで)と後半(第4・5章)でやや趣きが異なるように思う。前半は、著者によるこれまでの「閉ざされた安心社会から開かれた信頼社会へ」の議論の要約とも言える内容だが、第3章で紹介されている「ネットオークション実験」の結果から「ポジティブ評判」の思わぬ効果が見出されると、後半では一転、インターネットに代表される匿名の世界に「安心」をもたらすテクノロジー(評価・評価者に対するメタ評価を含む相互評価システム)の満たすべき要件について議論し、日本社会の今後のあり方を占う内容となっている。
最初に読んだときには、後半に入って急にテーマが変わったように感じ、また最大の紙数を占める第4章が全体の議論の中に適切に位置づけられていないように思ったのだが、よく考えてみると議論の展開に飛躍があるわけでもなく、それなりに多岐に渡る内容(特に第5章)も破綻せずにまとめられている。ただし、議論がところどころ微妙に甘い上(特にカンジンの実験結果に関する部分)、本書全体の見取り図がなく、読んでみないことには何が書いてあるかわからない本、という印象を受けた。
中途半端な印象。日本社会の将来の姿として「開かれた信頼社会」だけでなく「開かれた安心社会」という可能性を示したことは、ひょっとすると著者の議論における大きな転換点になるのではないかとも思うのだが…。
日米以外の比較制度分析に踏み込んで欲しい
★★★★★
社会学、経済学、心理学の3分野に関心がある人には興味深く読めるだろう。
本著は『信頼の構造』(東京大学出版会、1998)、『安心社会から信頼社会へ』(中公新書、1999)で展開された議論を、21世紀以降のITテクノロジーの進歩および脳科学や認知科学の発展から得られた知見を元に再検証した内容である。旧来の日本社会を集団秩序的社会とし、アメリカ社会を個人主義的秩序的社会とし対比する手法は旧著と同じで、集団秩序的社会における「安心」と個人主義的秩序社会における「信頼」の逆説的関係を第1章において平易に説明してある。両者の社会の違いを「機会費用」と「取引費用」という概念を簡易に用いて説明している部分は、少し経済学の知識が必要となる部分である。
第2章は、マグリブ商人と株仲間の事例をあげ一種の比較歴史制度分析を活用した仮説の実証を試みている。
第3章は実験経済学の立場から仮説にアプローチしている。実験経済学に興味のある人には普通に面白く読める箇所だ。
第4章はネット社会での「評判市場」における「メタ評価」とインセンティブの関係について論じている。ネット社会において評価システム、特にメタ評価システムの制度設計が社会のパフォーマンスを左右するという筆者の主張は非常にクリアである。
第5章はやや蛇足感が歪めない。信頼ゲームの日中比較実験の結果が意外なものであったことが筆者の筆を混乱させているが、中国の制度・文化・歴史的背景を考察できていないとの印象を拭えなかった。中国の社会は不安だから社会不信が個人の信念に根付いているのでは?と思いがちだが、信頼ゲームの実験はそれを覆すものであったという結果は非常に興味深く、日中比較の部分でも理論的完成度を高めて欲しいと筆者に期待を抱いた。今後の研究成果が楽しみである。
歯切れが悪いのでは。
★★★★☆
前半は、前作「日本の「安心」はなぜ、消えたのか」のサマリーです。
「安心社会→信頼社会」論がベースになるので。
で、本書では「安心社会」→「信頼社会」→「新しい(開かれた)安心社会」
と発展します。
なるほど!とは思うのですが、
その発展のベースになるのが
ITを中心としたテクノロジーの進化なのですね。
なので、テクノロジーが進化したら、とか
テクノロジーの進化が必要、的な「仮」の話が多くて
それだけ、結論について歯切れが悪い気がしました。
(私が素人だからだ、と思いますが)
もちろん、前作同様、
心理学の門外漢にも、非常にわかりやすい
構成になっていますし、
論旨も、納得度の高いものですが。