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佐藤垢石全集 決定版 全91作品 (インクナブラPD)

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: Incunabula.Inc.
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 本書は報知新聞記者を経て文筆で独立し、昭和の初期から中期にかけて「鮎の友釣り」「たぬき汁」など、釣りを中心とした多くの随筆を発表した佐藤垢石の代表作を収録した電子書籍の決定版です。収録作品は全九一作品となります。戦後は執筆だけでなく、雑誌「つり人」の初代編集人になり、現代の釣りジャーナリズムの揺籃期をリードしたと言われています。本電子書籍では代表作である「完本 たぬき汁」「『たぬき汁』以後」「垢石釣り随筆」他を収録しています。釣りを愛する太公望のための一冊です。

 代表作の「たぬき汁」は昭和十五年に書かれたエッセイで、紀州の尾鷲に鮎釣りに行ったときに大阪の新聞を読んだ所から始まります。新聞には理化学研究所が団栗から清酒を醸造する方法を発明したと書かれていました。この発明が普及すると全国の団栗が山から姿を消すのではないか、そしてまず最初に餌を奪われるのが、猪、そして次に狸。という展開で、狸の肉を食用にするいう話題に転じていきます。狸の肉なんか喰えるのか、というのはよくわかりませんが、結局みそ汁に入れるわけ(なので「たぬき汁」)で、やはり臭みはあるんでしょう。ちなみに猪は、紀州産がもっともうまいそうです。その理由は紀州の猪は団栗を沢山喰っているからだそうです。とりわけ楢の実を沢山喰った奴が猪肉として至上だそうです。もっとも団栗から清酒を醸造する発明は膾炙することはなかったようですね。

 「完本 たぬき汁」にある「海豚と河豚」の前半はクジラの話です。当時のクジラが日本近海にも多くいて、捕鯨が盛んだったことが書かれています。日本近海で一年間で二千頭前後が水揚げされていたそうです。多いのはマッコウクジラとイワシクジラで、イワシクジラは十五メートル程度のもので、一頭が三、四千円とのこと。昭和十四年のエッセイなので、当時の一円は、どうでしょうか、今の価値でいうと、三千円くらいでしょうか。であればイワシクジラ一頭で一千万円くらいの価値ということなりそうです。

 佐藤垢石のエッセイは、主に釣りに絡んだものが大半ですが、大正期や昭和初期の時勢がプンプンと匂ってきます。Wikipediaには「漢文的素養と市井の軽妙洒脱さをあわせ持った文章は独特の滋味にあふれている」と書かれていますが、軽々と引き込ませて読ませるのはさすがに名エッセイストと言われるだけはあります。


●iPhone用目次を追加
 Kindle用電子書籍の目次は二種類あります。一つはKindle PaperwhiteやKindle FireなどのKindleデバイスで表示される目次です。もう一つはepub3で決められた目次で、iPhoneで目次をメニューに表示させるにはepub3の目次が必要です。本書ではそれぞれの作品にアクセスしやすくするために、iPhoneのメニューから目次ページにアクセスできるようにしています。iPhoneやAndroidのKindleアプリをお使いの場合、メニューから簡単に目次ページにアクセスできます。

●JIS X2013に含まれない漢字はすべて画像化
 本文中にはJIS X2013以外の漢字やユニコードにも存在しない漢字があります。それらの漢字は明朝体で作字して画像として埋め込んでいます。ユニコードに含まれていてもJIS X2013には用意されていない字形(主にJIS X2013にはなくて中国漢字に含まれる字形)もありますが、それらの漢字はiPhoneで表示すると、強制的にゴシック体に置き換えられてしまいます。本書ではそれらも含めてJIS X2013に存在しない漢字はすべて明朝体の画像として表示されますので、明朝体のままお読みいただけます。

●佐藤垢石全集 決定版 収録作品

・佐藤垢石全集㈠ 完本 たぬき汁
みやこ鳥/酒徒漂泊/海豚と河豚/たぬき汁/姫柚子の讃/縁談/すっぽん/淡紫裳/議会見物/盗難/美音会/探巣遅日/採峰徘菌愚/増上寺物語/酒渇記/濁酒を恋う/うむどん/春宵因縁談/『七面鳥』と『忘れ褌』/にらみ鯛/たぬき汁(新字旧仮名)

・佐藤垢石全集㈡『たぬき汁』以後
続たぬき汁/しゃもじ(杓子)/純情狸/支那の狸汁/老狸伝/烏惠壽毛/香熊/愛郷風土記/わが童心/食べもの/魔味洗心/岡ふぐ談/猿ヶ京/飛沙魚/越後の闘牛/入社試験/食指談/鯰/泡盛物語/岩魚/熊狩名人/ミミズ酒と美女

・佐藤垢石全集㈢ 垢石釣り随筆
楢の若葉/父の俤/母の匂い/想い出/水の遍路/小伜の釣り/桑の虫と小伜/莢豌豆の虫/鰍の卵について/鱒の卵/雪代山女魚/香魚の讃/利根の尺鮎/瀞/季節の味/香魚と水質/氷湖の公魚/ザザ虫の佃煮/寒鮒/香気の尊さ/細流の興趣/榛名湖の公魚釣り/水と骨/石を食う/石亀のこと/巣離れの鮒/鯛と赤蛸/鯛釣り素人咄/釣った魚の味/冬の鰍/那珂川の鱸釣り/木の葉山女魚/蜻蛉返り

・佐藤垢石全集㈣ 垢石釣游記
さしみ/葵原夫人の鯛釣/河鱸遡上一考/蛙を食う岩魚/鯨を釣る/秋の鮎/小鰺釣/青鱚脚立釣/釣場の研究/釣聖伝/弟子自慢/道具と餌と天候

・佐藤垢石全集㈤ その他エッセイ
東京湾怪物譚/河童酒宴/水垢を凝視す/水垢を凝視す(新字旧仮名)/呉清源