エイフェックス・ツインが1990～1992年にかけて発表したシングルなどをまとめた初期作品の編集盤。静謐（せいひつ）なアンビエント・テクノで構成された『Selected Ambient Works 1985-92』に対して、本作は強烈なハードコア・テクノを中心にコンパイルされている。その斬新（ざんしん）さでシーンを震撼させた出世作<1>は、アボリジニの民族楽器ディジェリドゥーをサンプリングした、目くらみを覚えるような呪術的ブレイクビーツ。一連のアンビエント・ワークスにも通じる穏やかなデビュー作<9>、彼が影響を受けたと言われるメスカリナム・ユナイテッドのリミックス<11><12>、1990年のライヴ<13>など、現在では入手困難な貴重な音源を聴くことができる。希有な才能のルーツとその先駆性を改めて実感させられる1枚。（山田次郎）