3,000人の営業同行の現場から: ~アメリカのトップ企業が使っているのに日本では使われていない営業&コーチングスキル実践集~
価格: ¥0
私はこの30年でさまざまな業種の日本企業で約3千人の営業同行研修を行ってきました。
驚いたことに営業担当者だけでなく、上司、役員のみなさんがほぼ全員「相手の言葉や仕草に気づかず(スルー)」ビジネスチャンスを失っています。そしてそのことにほとんど誰も気づかないまま日々の営業活動を続けています。
私は約30年前にアメリカで営業トレーナーの訓練を受けて以来、ジョンソンエンドジョンソン社などの欧米企業でディレクター、事業部長、役員として働き、現在は営業支援コンサルタントとして医療機器メーカーだけでなく、一部上場の商社、照明機器メーカー、スナックメーカー、さらに精密機械メーカー、バイオ系企業、技術系ベンチャー企業などの企業で日本中を同行して回って居ます。
その経験を通して日本の営業現場では「アメリカのトップ企業が使っている営業&コーチングスキル」がほとんど使われていないことに気づきました。
下記は本書に記した営業担当者用、上司用のチェックリストです。一度チェックなさってみてください。
<営業担当者用チェックリスト>
□ 自社製品の説明を一方的にしゃべり続けている
□ お客さまの言葉をさえぎって話す(言葉をかぶせてしまう)
□ お客さまの大切な言葉を聞き逃している、気づかない(スルーする)
□ お客さまの仕草、目の動き、動作の意味に気づいていない(スルーする)
□ お客さまの「買う気のサイン」に気づかない
□ こちらの説明をお客さまがどう感じているか探ろうとしていない
□ 次に話すことで頭が一杯でお客さまのニーズを探っていない
□ お客さまのニーズに関係ない話を延々としている
□ 商品の特長は言えるが、肝心の利点が言えていない
□ どのお客さまに対しても判で押したように同じ「特長と利点」ばかり話している
□ 引き出し・知識が少ないので具体例が話せず、薄っぺらな話しになっている
□ 自分の伝えたい話を一方的に話しているだけなのに「自分は仕事ができる」と勘違いしている
□ お客さまが発している言葉は「そうですね」「はい」だけなのに「前向きな手応えだった」と勘違いしている
□ プレゼンテーションでは原稿を読むだけ。お客さまが資料の違うところを見ていても気にせず「上手に話せた」ことで満足している
□ 「これを使うとどんな良いことがあるのだろう?」とお客さまに考えさせていない
□ 購入後のわくわくするようなイメージをお客さまに伝えていない
□ お客さまの質問にはっきりと答えていない
□ お客さまの疑問への回答に理由、データを提供していない
□ お客さまの望んでいる情報を与えていない
□ お客さまの心を開かないまま話している
いかがでしょうか?
次に上司によるコーチングについては以下の項目をチェックしてみて下さい。
<上司用チェックリスト>
□ OJTの場となる営業同行をしていない(トラブル対応の時だけ同行)
□ 商談後の振り返りではアドバイスを一方的に話している
□ 部下に考えさせるコーチングができていない
□ 「俺の背中を見て学べ」と徒弟制度で行われているかのような教え方をしている
□ 部下を怒鳴りつけるのが上司の仕事と考えている
□ トラブルの時は同行するが、上司一人で全て解決してしまう
□ 同行しても上司がほとんど話をし、部下にしゃべる機会を与えていない
□ 部下と一緒になって相手の言葉をスルーするほど夢中でしゃべり続けている
□ 部下を育てるのではなく、力づくで従わせている
□ 「自分のスキルを部下に伝える」ことが上司の責任と理解していない
□ 部下のモチベーションを上げるどころか、下げるような行動を取っている
□ 商談の流れを振り返って部下に指導していない
□ 商談中に部下が必要な資料を持っていないことに気づき慌てている
□ 数字目標の達成のみが上司の責任と考えている
□ 商談中の部下のミスは叱りつけることで矯正しようとしている
□ アメリカの営業マネージャーが必ず行うRecognition(レコグニション)を行っていない
□ 「商談前打ち合わせ」「商談後振り返り」をしていない
□ 部下に「相手の心を開く方法」(アイス・ブレイキング)を教えていない
□ 「上司としての自分のスキル」が何か分からないので何を教えてよいか分からない
□ 同行して上司がスキルを見せても部下はそれをメモしていない
いかがでしょうか?思い当たる点がありましたか?
大半の営業担当者が最初は気をつけてはいるものの、途中からほとんどの方が「自分の言いたいことだけを一方的に伝える話し方」になっています。
そして相手の反応を見ているつもりが、頭の中のシナリオ通りに話すことに夢中になってしまい、相手の動作や反応に全く気付かなくなっています。
「特長と利点」は、ほぼ100%の方が「利点」が言えず、特長のみしか伝えられていないので相手の心を動かすボタン(ホットボタン)を押せず、話が空回りしています。
「アイス・ブレイキング」は雑談程度で相手の心を開けないままで商談が終わっています。
またコーチングについては「フィードバックの本当の活用」がなされず、上司からのお説教や一方的なアドバイスに終始しています。
Feed(フィード)はFood(フード)の動詞形で、部下に養いを与えるのがフィードバックです。それがきちんとできている上司は残念ながらほとんど見られません。
「営業同行は上司のスキルを部下に伝承し、部下を育てる場」ですが、部下にとっては「指摘・ダメ出しをされ、最後は叱られるごう問のような場」になっています。
本書にはこれら「上司・営業担当との営業同行」や企業研修で見聞きした実例を中心に、みなさまの営業現場で起きている問題点を改善する実践集をたくさん載せてあります。
チェックリストでいくつか☑がついた方はぜひご一読下さい。
研修では「知識としては知っている営業スキルなのにまったく使っていないことに気づいた」「どうして今までこのスキルの使い方を学んでこなかったのか」「目からうろこが落ちるような思いだ」「今までの売り方で売れていたことがむしろ不思議だ」「こんなに心地よいフィードバックを受けられる同行なら毎日でも上司同行をしてほしい」などのコメントをたくさんいただきます。
尚、弊社では営業研修も承っております。お問い合わせは info@mentor-fup.info 宛で受け付けさせていただいております。
本書が皆様の営業活動向上のお役に立つことを願っております。
一般社団法人メンター
代表理事 池田和政