セルフ・リーダーシップ
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「コヴィー博士の集中講義シリーズ」は、コヴィー博士のあらゆる著作から、現在のビジネス・パーソンの方々の課題に応えることができるよう、テーマ(セルフ・リーダーシップ、コミュニケーション、チームを導くリーダーシップ、タイム・マネジメント、プロジェクト・マネジメント、信頼構築、Win - Winセールス、キャリア・デザインなど)毎に内容を厳選し編纂したものです。本シリーズによって、皆様の知識としてだけではなく、パラダイム、行動に変化をもたらし、より良い結果という果実を少しでも掴んでいただきたいと思います。
本書『セルフ・リーダーシップ』はリーダーシップの土台となるセルフ・リーダーシップにフォーカスしています。目標を達成するために基準(コンパス)がなければ、自分で正しい方向を判断できませんが、そのコンパスとなるのがセルフ・リーダーシップなのです。一人ひとりがコンパスを持てば、どんな事態に遭遇しても正しい方向を知ることができます。セルフ・リーダーシップを発揮することで、今取り組んでいるプロジェクトやビジネスを成功させ、個人の評価を上げると同時に、会社の競争力強化に役立てていただけることでしょう。
現在のビジネス・パーソンは、実に多忙な毎日に振り回されています。次々に飛び込んでくるタスクやクレーム。いつの間にかたまる書類や未読メール。スピードが重視される現在、以前とは比較にならないほどの仕事をこなさなければ、他社との競争に勝つことも個人の評価を上げることも難しくなりました。しかし、プロジェクトの成功率は3割を切り、会社のビジョンや戦略を実行している人は5%に過ぎないというショッキングな現実(フランクリン・コヴィー社の調査)を知ると、会社がよく存続していると感心するほどです。
10業種に携わる世界約22000名のビジネスマンを対象に調査を行った結果、会社の最重要目標を知っている者は52%、よく理解している者は28%に過ぎず、経営トップが語るビジョンや戦略を聞いたことがある者は40%、理解している者は15%、実行した者に至っては5%しかいないことが明らかになったのです。
なぜこのような結果になるのか、その原因はどこにあるのか? スキル不足かマネジメントの失敗か? 結論から先に言えばリーダーシップの欠如にあることがわかってきました。いかにリーダーシップを身につけるかが、個人の高い評価を勝ち取ることにつながり、プロジェクトを成功に導くキーポイントなのです。
日本の経営者はマネジメントには長けていますが、方向性を指し示すリーダーシップの欠如している人が多いと言われます。また、マネジメントとリーダーシップの違いを理解していない人が多いことも事態を悪くしているようです。ではマネジメントとリーダーシップの違いはどこにあるのでしょうか?
マネジメントとリーダーシップの違いは、ジャングルに迷って助かる道を造る二人の役割を考えてみるとわかりやすいでしょう。一人は高い木に登り、どの方向に道を造ったらいいか指し示します。もう一人は地上で鎌をもってからまる枝を切り開いて道を造ります。正しい方向に向かわなければ、どんなに精力的・効率的に道を切り開いても助かることはできません。つまり、正しい方向を示すことがリーダーシップであり、実際に道を効率よく造ることがマネジメントというわけです。
従来ややもすればプロジェクトやビジネスを遂行する上で、リーダー以外のリーダーシップは重視されてきませんでした。チームメンバーはリーダーの指示に従って動くことで済んでいたという側面もあります。しかしスピードが重視され、とにかく行動しなければならない現代にあっては、不測の事態に遭遇した際、一人ひとりが正しい方向を判断する能力を身につけることが不可欠になったのです。今やプロジェクトの成功、ビジネスの成功にはリーダーシップが求められているのです。