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新企業統治

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: (株)グローバル・マネジメント・ネットワークス
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 2016/2/04改訂新版

 現代グローバル社会には二つの企業統治手法が存在する。一つは20世紀以来の欧米型企業統治で、もう一つが2015年6月1日に新たに提言された日本版企業統治。前者は企業を「株主の財産」とし、その将来性よりも現在の利益の最大化を求め、社員はその財産増大メカニズムを構成する「人的資源」とされる。一方で後者は企業が株主のみならず社会全体の価値を創造する「社会的存在」であるべきと提起している。したがって後者では、社員はもはや無機的な人的資源などではなく、グローバル経済全体の持続的成長のために創造力を発揮する「人間」であることが求められる。本書はこの後者の、持続的進化を目指して社員のボトムアップ創造力を活かす新たな企業統治の実践条件を提起している。

 本書の意図は、近年急速に高まっている企業統治強化の要求に対して、その「根本的」課題解決を提起することにある。現代日本企業の脆弱化の最大原因は、一方的に量的成長を続ける金融経済からの将来を犠牲にした短期利益最大化の継続圧力にある。この金融経済が実体経済を消耗させ続ける悪循環が日本社会でも既に20年近く定着している。そして、その結果の高付加価値創造力の低下による実質業績低迷にもかかわらず金融経済からの高利回り要求が続くなかで、企業経営者はそのギャップを埋める「無理」をせざるを得なくなっている。その無理が過剰となり日本社会でも本格的な企業統治の導入が叫ばれることとなった。この経緯を考えれば、新たな企業統治の目的は、経営者の「無理」の合法性や倫理性を事象ごとに指摘することではなく、その根本原因である「企業の高付加価値創造力を再生する」ことであることは明らかだろう。本書はこの観点から新たな日本版企業統治の実践条件を提起している。

 なお、もしこのような二つの企業統治の根本的な違いを意識せずに金融経済の短期願望を優先する旧来の欧米型企業統治体制を導入するとどうなるか。その企業は自己消耗の悪循環をさらに加速し衰亡に向けて走り続けることになるだろう。そしてそれは金融経済と実体経済の膨大な不均衡をさらに増大させる一因ともなる。「角(つの)を矯(た)めて牛を殺すことなかれ」が企業の存亡とともにグローバル経済の混迷打開にも関わる金言となっている。この点については、本書内容を抜粋した英語版「Corporate Sustainability Governance」(Tadao Onaka、Nigel K. Denscombe 共著 2015年5月10日発刊)で欧米社会に向けて提起している。