本書は、著者の1995年から2014年までの20年間にわたる企業研修と社会人経営大学院講義の累積2万人超の参加者との発展的な討議内容を以下の６章の演習プログラムで整理した「持続的進化を実践する」マネジメント研修のためのテキストです。

第１章　マネジメント能力強化の準備考察
第２章　持続的進化を実践するマネジメント技術体系
第３章　創造ビジョン設計演習
第４章　共鳴コミュニケーション演習
第５章　支援コーチング演習
第６章　共存交渉演習

　上、中、下巻の合計20の演習課題で、現代ミドルマネジメントの直面する以下の深刻な課題群を解決するマネジメント能力をどのように実践するかを考察しています。

・現代企業の短期業績追求による自己消耗サイクルをどう歯止めするか？
・社員の低迷し続けるモチベーションをどのように再興するか？
・ミドルマネジメント自身の疲弊をどう回復するか？
・21世紀のマネジメントとしてどのような能力を強化すべきか？
・持続的進化を実践する新たなマネジメント能力をどのように装備するか？

　本（下）巻には、第５章　支援コーチング演習、第６章　共存交渉演習、とともに、結辞　21世紀のマネジメントの使命と存在意義、を収録。

　本書は21世紀の日本型経営のマネジメント技術体系の提起でもあります。終身雇用、年功序列、企業内組合の３つの「制度」で実現したと認識されたことで見逃されてきた20世紀の日本型経営の「技術」体系を、その「人を活かす」本質にもとづいて再構築しています。

　人間の進化は、日々の新たな試み、創造ビジョン設計、によって起動されます。そして企業組織を進化させるのは、社員のそのような日々の創造ビジョン設計力です。したがって、企業はその持続的進化のためには、社員を「企業資源（Human Resource）」ではなく、創造的なビジョンを設計して進化する「人間（Human Beings）」として活かす必要があります。

　この新たな日本型のマネジメント技術体系を再装備することで、マネジメント人材は、もはや投資家財産増大のみを担当する基幹部品のようなミクロな存在などではなくなり、グローバル社会の経済単位のリーダーとして、社会変化から企業進化のモチベーションとエネルギーを創出するマクロな存在となります。本書は、この21世紀の持続的進化の醍醐味を追求するマネジメントのための最先端の演習書です。