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江利子と絶対〈本谷有希子文学大全集〉 (講談社文庫)

価格: ¥420
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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作者の個性が際立つ表題作が秀逸 ★★★★☆
本谷有紀子の初期短編集。「江利子と絶対」は両親に匙を投げられたひきこもりの妹をひょうひょうと受け止めている姉のスタンスがいい。「絶対」は拾ってきた犬の名前で絶対に裏切らないからという理屈がいたい。ストーカー女に振り回されるダメ中年のはなし「生け垣の女」や正当派ホラーの「暗狩」などバラエティに富んだ内容。作者の個性が際立った表題作が秀逸。
知らなくても良いこと ★★★★☆
『江利子と絶対』『生垣の女』『暗狩』の三作品を収録したものです。 どの作品も人間の奥に潜む狂気を感じる事が可能であり、その中により人間らしさを見いだす事ができます。
世の中には、知ってしまう事よりも知らない方が幸せな事もあるのではないでしょうか。

「孤独に耐え続けられたのは『強かったから』みたいなことでもなく、ただ単に孤独じゃない状況を『知らなかった』ってだけで、それを一瞬でも知ってしまった今…」

代弁者としての本谷さん ★★★☆☆
本谷さんの小説デビュー作を含む3作が入った短編集。

デビュー作だけあって小説が若い。文章が若い。
まぁ正直言って「生きてるだけで、愛」や「不抜けども、悲しみの愛を見せろ」の方が、完成度も密度も高い。

けれども若さの中にやはり本谷流ありって感じで、コミュニケーション能力が極端に欠如した人物描写が抜群にうまい。

あと相変わらずタイトルは秀逸。
とっとと読んで逃れたい小説 ★★★☆☆
新進戯曲家の小説デビュー作とのことで、期待して読んだ。

確かに、思わず次を読みたくなるプロットの面白さはある。
「〜のような」が多用された強引な比喩も、書き割り的ではあるけれどマンガのような平らで輪郭のやたらはっきりしたビジュアルを生み出すのには役立っている。
ただ、それがこれでもかこれでもかと畳み掛けられると、面白さよりも押しつけがましさに息苦しくなってくる。

3作の中では、『暗狩』に一番興味を覚えた。
楳図かずおと昭和初期の探偵小説が混じったような、劇画調のおどろおどろしさがそこここに見られる。
暗闇の中で主人公が自分の心の闇と向き合うあたりはいいことが書いてある。15行くらいだけど、そこはなかなかの名文。
しかし、冒頭から物語を追ってここにようやく辿り着くと、「ああ、この作家はこれが言いたくてこの小説を書いたんだなぁ...」、ということがあまりにもあからさまに見えてしまうのが難点。しかも小学生である主人公に心の奥の闇を語らせるのにはやや無理があり、結局はこの主人公の少年が作家の代弁者=作家自身に収束してしまうのが残念だった。

いつまでも小説の世界の中にとどまっていたいような、その小説の時間に何度でも戻って行きたいような、深く香しい小説がある。本谷氏の小説は、それとは正反対に、とっとと読んで、なるべく早くその世界から逃れたいような小説。私は前者のような小説が好きなのでちょっと辛かったが、単純にストーリーの面白さを求めるなら、十分に読み応えがあるし、若い書き手の荒削りの息づかいも魅力といえば魅力だ。

小説の方はもういいかな...とついつい思ってしまうが、本業の演劇の方は機会があれば一度くらいは見てみたい。
時代と現代人を抉った本書も傑作 ★★★★☆
今、出身の演劇界以外でも大きな注目を浴びている一人
本谷有希子の初期小説作品集。
表題作は短編ながら、彼女の創作活動のベースとなっている
全ての要素が詰まっていると言っても過言ではない。

まだまだ文体は硬く、演劇風に言えば
やや時間配分が悪い点は欠点としてあるものの
(ありきたりの賛辞となってしまうが)
時代と現代人を抉った本書も傑作である。