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生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)

価格: ¥389
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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メンヘルというよりボーダ人格の奇行を描いた作品。 ★★★★☆
本谷の作品には人格障害のような登場人物が多数描写されるが、今回は過眠症なる自称メンヘル(メンタルヘルスからきた造語?精神疾患患者)のわがまま女性の奇行が描かれている。江國香織の「きらきらひかる」や吉本ばななの「キッチン」と同様のないようだが、主人公のはじけっぷりが面白く笑える。女性は自分は無茶苦茶でも愛してるといえば許されると思っているらしいが、それは無理。あまったれるのもいい加減にしてほしい。
スーパーエゴまたは滑らかな縦穴を落ちる者 ★★★☆☆
津奈木と主人公との関係は金原ひとみの「アッシュベイビー」の登場人物と似ている。同じところに住んでいるのに殆ど干渉しない。またどちらも敢えて男性の人物描写をあいまいにしている。本谷の場合それが意図的であり、読後にわかるようにしてあると感じるのは深読みだろうか?この二人と三角関係を作る安堂は主人公のスーパーエゴなのだろう。津奈木に寄生している主人公の生活ぶりを徹底的に詰って、無理やりアルバイトをさせようとする。安堂は自分への苛だちを感じているもう一人の自分だ。主人公は「こんな生活していてはいけない」と思う一方鬱病のために現状から抜け出せないでいる。周囲の人と関係を持とうにもひっかかりようのない滑らかな縦穴を無限に落ちてゆくような恐怖感。何をしてもよい、という選択の自由が何をしてよいのかわからない人には苦痛となっているのが現代なのだろう。
風変わり恋愛小説 ★★★★☆
主人公の寧子は、25歳で無職。3年間同棲している彼、津奈木の家に引きこもっている。
過眠症で、母親譲りの欝を持て余している。
私が想像するには、きっと寧子は美人の部類に入るぐらいの容姿であると思われるが、どうしようもなく甘ったれである。
津奈木も何故そんな厄介な女と長い間暮らしているのか、惰性で一緒にいるだけなのか分からないが、寡黙で、もし近くにいたらイライラしそうな男だ。
そんな二人の関係は、恋人と呼べるような甘い関係ではないし、この小説が恋愛小説というジャンルに分けるのもどこかしっくりこない。
でも、大きな意味での“愛”がこの小説にはあると思う。
印象的なのは、寧子が電気を使いすぎて停電になってしまう場面。
それを津奈木が何も言わずにブレーカーをあげに行くところが、二人の関係性を如実に表している気がする。
読み始めは、寧子のメンヘラーぶり(?)に辟易するが、読後感は悪くないので、是非!
感想というか意見 ★★★★☆
過眠、メンヘル、25歳というキーワードから、奇抜で陰のあるストーリーを想像したが、主人公は本当にくだらない。感情のまま動きすぎ。
エキセントリックな自分を格好いいと思うのは、何も悪いことじゃない。人は何かしら自分が格好いいと思う生き方をしたいもんだと思う。いくら他人が寒く感じようが、本人にとってはそれが普通であり、アイデンティティの一つだから。
でも行き過ぎると、一般的な考え方が分からなくなるから、ある程度自分をセーブする事も必要だ。
結果的に社会性がないと、そりゃ主人公みたいに病むだろうと言わざるを得ない。
自分をセーブできないほどの破天荒な人間だったら、この作者のようにそういう感性を文にするとか、芸術の道に行けばいいんじゃないかと思う。
ラストシーンの切り替えが見事です ★★★☆☆
鬱で、過眠症で、引き籠りの主人公寧子。
その言動は、あまりに滅茶苦茶で、自分勝手で、まわりにいる人間にとって、迷惑極まりない。
あぁ、こんな人が近くにいたら嫌だなぁ・・・とも思うけれど、ストレートに自分の気持ちをぶつける主人公と、それを受け止めることができる津奈木の関係性がうらやましくも感じる。

そして、屋上のラストシーン。
過激なまでに自分を晒して、相手に分かってもらおうとする寧子は、ギリギリのところまで追い込まれているように思えるけれど、津奈木にはその本気度が伝わっていないように感じる。
読んでいて、イラっとするけれど、そんな津奈木の最後のセリフに、全てが集約される。
その切り替えの見事さは、やはり演劇的です。
読後感も悪くはありません。