福澤諭吉先生と 金玉均について: 暴力クーデターから「脱亜論」へ 朝鮮・韓国 知られざる近代史
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「どうしたのだ。まだダイナマイトが爆発する音がしないではないか」
「いや、実はダイナマイトは仕掛けてあるのですが、いくら火を付けても爆発しないのです」
「そんな馬鹿なことがあるか。ダイナマイトが爆発しないのなら、あの家にみんな火を付けてやれ」
明治十七年、福沢諭吉の弟子であった井上角五郎(後の衆議院議員)は、朝鮮の首都・漢城(ソウル)で、朝鮮独立党の金玉均らによる暴力クーデター(甲申事変)にかかわった。金玉均は、朝鮮における福沢の弟子であり、来日するごとに福沢に教えを乞い、福沢の説いた「三和主義」に殉じたという。
本書は、福沢の教えに従って若くして朝鮮に渡り、朝鮮政府の顧問となり現地最初の新聞『漢城旬報』を創刊し、さらに金玉均のクーデターにもかかわった井上が、金玉均と福沢諭吉の出会いからクーデターの顛末、日本政府のかかわり、金玉均の挫折と壮絶な死までを、自らの体験に基づいて赤裸々に語った記録である。時代背景を理解するための詳細な注を加えた。