「朝に発意、昼は実行、そして夕べに反省、こういう日々をくり返したい」「商売は結局お互いのため」「まずサービスから」など、日々仕事をするうちに忘れてしまいがちなことが、語りかけるような口調でつづられていく。読み進めるうちにじわじわと心にたまり、商売のみならず人生に対する心構えを学ぶことができるだろう。和紙のような手触りの表紙、手書き風の罫線もあいまって味わい深い1冊となっている。
昭和48(1973)年に書かれたものながら、古さを感じさせない心得ばかりが並ぶ。基本的なものであるからという理由だけでなく、著者の先を見る目があってこそ、そう感じさせるのだろう。「外部に対して手を打たなければならないような情報がすぐに首脳に伝わるような雰囲気を、たえず内部につくっておくこと」などは「ナレッジマネジメント」の発想にもつながる。
本書に書かれた心得を「新しい時代に即した創意なり、工夫」をしながら日々の仕事に役立てるために、ぜひ手元に置いて何度でも読み返してほしい。(門倉紫麻)