人生を理解するのにもよい
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イギリス陸軍少将J・F・C・フラーが「銃が歩兵を生み、歩兵が民主主義を生んだ」と説いた。
人類の歴史の中で多くの国々で主力となっていたのは騎馬だった。しかし馬は飼育が難しく飼育するためにあ財産が必要であり、騎馬を操るのは訓練が必要だ。
そのため有る程度の富裕層でなければ馬を持つ事ができなかった。
しかし銃が発明され、騎兵が無力化され。誰でも使える兵器である銃をもった歩兵が主力となった。
歩兵は徴兵される市民によって構成されることになり、そのことが一般の市民の発言力の強化につながり、民主主義が生み出されたとの考えだ。
事実、近代徴兵制の成立は、フランス革命によってもたらされた。
革命によって、貴族制度が廃止され、それまで国を守ってきた騎士たちは軍隊から外された。しかし革命が波及する事を恐れた周辺諸国は、次々とフランスに侵攻を始める。
そんな中でフランスは、市民による軍隊を作る事が迫られ、それが近代徴兵制の成立に繋がったのだ。
民主主義と徴兵制は、相反するものではなく、実はこのように一体のものであった。
このような歴史を知らなければ、軍隊や戦争というものがわからないでしょう。
新戦争学には、第二次世界大戦から冷戦時代に至るまでの戦争の歴史が描かれ。
何故、そのようなことが迫られる事になったか、そうした歴史と政治の背景が書かれています。
この一冊を読む事が大切な理由は、こうした事を知る事で、いま我々がどういう状況にあるか理解する事ができるだけではなく
戦争の知識が実は我々とは離れたものではなく常に身近に必要な知識であるか理解できるからでしょう
そのことは外交や政治だけではなく、歴史にも人生を理解する事にも繋がると思います
近代の戦争について俯瞰する一冊
★★★★☆
松村劭氏の前作「戦争学」が過去2千数百年の戦術と武器の変化を追っていたのに対して、本書では第二次世界大戦直前(第一次世界大戦)の後遺症から第二次世界大戦を経て現在に至るまでの主な戦争について纏めている。
歩兵・砲兵・騎兵が中心だった頃からたった百年で、戦車・航空機・ミサイルを持つに至り、現在では戦争のあり方が大きく変わってきていることが分かる。過去100年の変化を武器と戦術の変遷を中心にざっと眺めるにはちょうど良い程度の長さの本である。その代わりに、各戦闘や政治情勢の詳細については浅くしか触れていないので、詳しく調べたくなったら別の本を参照する必要があるかもしれない。
企業戦略・事業開発に関わる人に推薦します
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企業戦略・事業開発に関わる仕事をしている人に推薦します。
完全市場が現実には有り得ない以上、企業経営者は「市場の霧」の中で選択し、
決断し、トラブルを乗り越えて成果を出さなければなりません。
この本は情報が不完全で流動的な状況の中で組織をまとめ、
全員を成果に駆り立てるための組織運営の原則が書かれています。
軍事マニアだけに読ませておくには、あまりに惜しい内容だと思います。
「揺るぎなき指針」を得る。
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●状況が常時変化するという点では、「戦場」と「日常生活(家庭・職場・・)」は酷似しています。故に、一瞬の判断の狂いが生死を分ける戦場での知恵は、人間のあらゆる活動に応用がききます。●戦略と戦術、インフォメーション(=あいまいな情報)とインテリジェンス(=根拠の明確な情報)を区別・駆使して生きていこうとするすべての人に著者の著作全般は役立つと思います。(バラバラに読んでも解る人ならいいですが、軍事用語の意味がわからない人の場合は、著者の他の著書で説明があるので相互に意味を補完できます。例えば、陸軍の編成における「方面軍」「師団」「旅団」の違いなど。)●日々の生活で直面する諸問題に柔軟に対応する上で、著者の書籍は様々なヒントを与えてくれました。(特に商売人にとっては「企業コンサルタントの書いた戦略本」よりも、格段に有益だと思います。)ちなみに「軍事革命(RMA)」もかなり面白かったです。
前作よりは買う人を選ぶかな?
★★★★☆
前作「戦争学」に続き、良い本であると思う。
でも、自分的には前作は
・歴史から原理を抽出し、他の場面にも応用を考える人
・歴史そのものに興味があり、歴史の勝者が具体的にどう勝ったのか?
を知りたい人
・軍事や国際政治などに興味のある人
大きく言って3つの読者像があったと思うが、今作の読者像は
3番目の人に限定されてしまう気がする。
※そういう人にとっては買いだと思う。
1番目しか目的のない読者であれば、その主張は
前作で尽きていると思われる。松村氏の著作でその発展を
考えるなら選択は本作ではなく「戦術と指揮」あたりに
なるんじゃなかろうか?
2番目の目的しかない読者でも今作には向かないと思う