シャガールの生涯とステキな出会い そして素晴らしい作品
★★★★☆
シャガールといえば、人が浮かんでいたり、山羊や花束やエッフェル塔が描かれていたりとモティーフがすぐに浮かぶほど特徴のある絵を沢山描いています。日本人に愛されている画家の一人ですね。
マルク・シャガール(1887-1985年)は、ロシア帝国末期に、ユダヤ人居住区に生まれて、白ロシアの風土と東方ユダヤ文化を吸収して育ちました。23歳の時パリに出て、少年時代から芽生えていた画才が開花する機会に恵まれました。
そして最愛の妻ベラと結婚します。ベラについては「1915年の私の誕生日に、ベラが花束を持ってやってきた。私は貧しく、私のそばに花などはなかった。私にとって花は人生の至福を意味するものだ」と述べています。彼の絵にはしばしば、ベラやシャガール、そして花束が描かれています。その新婚時代の幸せな思い出をずっと絵に描き続けたのも理解できます。
1930年代後半、ユダヤ人であるシャガールの作品は、ナチスによって、「退廃的である」というレッテルが貼られ、ドイツでは多くの作品が廃棄され、第2次世界大戦のさなか、54歳の時、ナチスの迫害から家族の身を守るため、アメリカへの亡命を余儀なくされます。そしてその直後最愛の妻・ベラが亡くなったのです。時代に翻弄されたことはお気の毒でしたね。
画集を観ること自体が好きなのですが、画家の人生と描かれた絵との関係もまた興味があり、このような画家の背景もまた作品を理解する助けになりますね。巻末に詳細な年譜が付いています。