生田耕作最後の翻訳 “DIVINUS DEUS” 三部作
★★★★☆
生田耕作の最後の翻訳となった、バタイユのエロティシズム文学総決算の書。69年に発刊された旧訳版が全面的に改訳を加えられ、文字のサイズも大きくなって読みやすくなっている。特に所収のひとつ「わが母」の削除されていた部分が補訳されているのと、旧訳では所収されなかった「シャルロット・ダンジェルヴィル」が追加されているのは嬉しい。
しかし旧訳版には所収されていたバタイユ本人による「マダム・エドワルダ」への序文と「エロティシズムの逆説」が無くなってしまった。私的にはこれらはバタイユ思想を考察する上でも「聖なる神」を見渡す上でも留意すべき点が多いと思っていたために、生田氏による解説に序文からの引用が残っているものの、少々残念。
ただ、「マダム・エドワルダ序文」に関しては「エロティシズム」に所収されているので、そちらとの併読をお勧めしたい。