中盤まではわかりやすかったのだが、最後の方があまりにぶっ飛んだ内容になっていて焦点がぼやけてしまっている。
　これは著者本人よりも担当編集者に問題があると考えている。というか、もう少し書く内容を添削してあげなさいよ…。
　まあ、読み物としては面白かったが。

『少林寺気功理論』は日々向上を求めている全ての人にとって、「もっと早く読みたかった！」という本になることだろう。
　中国にある嵩山少林寺は、菩提達磨以降1500年余に渡り法灯が続く禅宗祖庭、中国武術＝功夫（カンフー）の聖地として名高い。嵩山少林寺の禅と武の奥深さから察するに、最後まで秘伝にされて来た「少林寺気功」のパワーも推して知るべしといえよう。
　『少林寺気功理論』著者の秦西平氏は、2000年に外気功の実技（気功治療）として、「気功麻酔による世界初の抜歯手術」を成功させ、副産物として気功麻酔の被験者である患者の持病まで楽にした実績がある。このため、気功界・医療界から注目されることとなった。
　「どうしたら病気が治るのか？」が、理論でも実技でも分かっている。怪我の回復、精神安定、潜在能力開発など心身の健康や心と肉体のバランスを整える方法は言うまでもなく、「少林寺気功」では1500年の間に健康増進・病気治療のノウハウが蓄積され、精錬されている。健美に役立つダイエット気功法すらも、「少林寺気功」にとっては実践応用技の一つに過ぎない。
　『少林寺気功理論』は、「健康法」や「精神世界」コーナーはもとより、「人生訓」、「宇宙論」、「統合医療」のコーナーに並べて、一人でも多くの手にとって欲しい名著である。

　著者秦西平師既刊の『嵩山少林寺第34代最高師範のこれが気功と武術だ! 』『華の少林寺ダイエット 1週間×5で実感できる』『少林寺気功健康法　中国武術の総本山少林寺が伝える秘法』の内容や、秦西平師が主宰する全日本少林寺気功協会ホームページによって、東京でも少林寺武術や少林寺基礎気功教室、少林寺気功師養成講座が開講されていることが伝えられていた。
　全日本少林寺気功協会ホームページ情報により、東京神保町の本屋で開催された『少林寺気功理論』出版記念サイン・少林寺気功体験イベント開催を知り、行ってきた。
　『少林寺気功理論』には中国嵩山少林寺住持釋永信管長の前言が記されている。少林寺気功体験イベントでも、秦西平師を介して嵩山少林寺からのメッセージが熱く語られた。
　「1500年余年少林寺秘伝の健康法・心身鍛練法であった少林寺気功の理論や実技を、少林寺気功研究総会全権代表である秦西平師を通じ、世界中の人々の健康に役立てるために、十数年前から公開した。是非あなたにも役立てていただきたい！」という趣旨である。
　少林寺気功体験イベントでは、少林寺武術指導員の演武、続いて『少林寺気功理論』にも記されている秘伝三大動功「鶴功三十六式」が少林寺動功指導員により演舞された。また、これも本の中に記述がある動気功「四段功」が、秦西平師自らによって指導された。体験レッスンの最中は参加者全員が繋がっているような、会場に清涼な風が吹いているような不思議な感じがあった。