強迫性障害についての,国内最高の文献のひとつかと。
★★★★★
他のレビュアーの方が既に書かれているように,一般向けではありません。高度な専門書です。
わずか150ページほどの分量の中に,195冊に上る文献が引用され,きわめて高い密度の本です。
強迫性障害についての症候学,疫学,病前性格論,脳科学,遺伝学,精神力動論など,過去に蓄積された知見が網羅された前半は圧巻の一言。うつ病,統合失調症,摂食障害などとの関連についても,興味深い議論が展開されています。
後半は,筆者自身の長年の体験から生み出された治療論が語られます。とくに,患者の内的世界の描写は分かり易く,かつ深い。今までに読んだ強迫性障害の文献中,ベスト・ワンです。