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奇子 (上) (角川文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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凝縮度がすごい人間模様 ★★★★☆
日本の終戦直後から高度成長期あたりの期間の、田舎のある名家の人間模様を描いた手塚治虫の秀作。実はこの作品の存在を知ったのが最近で、著者の作品の幅の広さに改めて凄さを感じることができました。ところで、この物語って実話ベースの部分が何割ぐらいなんでしょうかね?人間関係にしても事件にしても、著者の筆力はもちろんのこと、他からもリアリティを感じてしまいます。ラストは強引に終わらせたような感じが否めませんが。

露骨に人間性に問題がある家長と跡取り、逆らえない姑と嫁、比較的まともでありながら強い影を持つ兄弟たち、愚民俗物って感じの多くの取り巻き、GHQ、叩き上げの刑事、そして、幼い頃から地下牢で20年以上も過ごしてきた奇子(あやこ)。この作品、人間関係のドロドロした部分の描写がとにかく露骨で、普通の作者によるマンガや映画ならば、こんなに短くはまとまらなかったでしょう。
黒手塚の最高傑作 ★★★★★
アトムやリボンの騎士等のアニメ化された所謂「白」手塚作品と両極に位置する作品。

GHQ占領下の日本が舞台となり、下山事件、農地解放等の事件を題材として、その時生きた人の、政治思想、性モラル、道徳価値の変換を物語る。

傑作「アドルフに告ぐ」と同じく、続く戦後という時代の匂いを感じることができます。

観察可能な事実を元に推理小説を書いたのが松本清張、ノンフィクションを書いたのか吉村昭、漫画を描いたのが手塚治虫でしょうか。

作家にとっては結局「事実」が一番面白いネタ元なのかなあと思います。

おすすめです。

















深みのある作品 ★★★★★
何気なく疑惑の下山事件が語られ、その上に当時の閉鎖的な社会が覆いかぶさり、手塚治虫の才能の深さを痛感せざるを得ない大作。今では考えられない掛け持ち多作のなかでこんなストーリーがよく考えられたものだと唖然とするばかりです。
漫画で表現した小説 ★★★★☆
この作品は上下巻通して読まないと意味がありません。ですからレビューも全編通した内容です。
下山事件やゼネストといった今では歴史になりつつある事件を背景にして旧家の戦後を描き出しているがどれをとっても理解できる人の年齢が高いように思う。もともと昭和47年に発表された作品なのでその時代を知っていれば事件についてはともかく旧家の雰囲気となるとわかる人は少ないでしょう。
手塚氏自身が大阪の旧家の出身ですからその閉鎖的な小社会を見聞きして育っているので読み手にもそれなりの予備知識を要求しています。その意味ではやや作品の紙幅が少なく背景の説明が少ないのがつらいところです。
しかし個々のキャラクターの書き込みはすばらしく背景を気にせずストーリーに引き込んでくれます。この作品は人の業を描くこととそこからの自由、そして業を業として背負う人の強さがテーマです。
ラストのおばあさんのせりふが全てを救います。
昭和の時代 ★★★★★
まるで、上質のノンフィクションのような漫画です。漫画の域を超えた質の高い作品だと思います。敗戦後の昭和の時代の闇を描いているようです。私は、下山事件については詳しくありませんが、その謎に迫るような作品になっているようです。この作品を読んで下山事件に興味を持ちました。面白いので、上下巻とも一気に読みました。昭和の時代に、本当にこんなことあったかもしれないと思わされる、地方の資産家の閉鎖的な陰湿さについては、不快な気持ちを持ちつつも、人間の本質を見る思いです。難しいテーマを読者の気持ちを鷲づかみにしながら、描いていくところは、さすが、手塚治虫と思います。また、テーマの選び方が、知性と感性を感じます。