分子生物学を専攻する人の学習には最適
★★★★★
生データやコンピュータモデルがふんだんに掲載され、事実の羅列ではなく、事実が明らかになった過程が詳細に記されており、従来のテキストとは一線を画した内容になっている。図もカラーで大変分かりやすい。論理的な考え方を身につけられる本だということができるだろう。個人的には、特に、DNAの分野の記述がわかりやすかった。
最近の洋書によくあるパターンではあるが、章末には章のまとめと問題があり、内容を再確認できるようになっている。
研究者が自分の専門分野以外の分野について再確認をしたいときに参考にするのによさそうだ。また、計算化学等を専門にしている学生にも参考になるだろう。
ただ、学部生が最初に分子生物学を学ぶ入門書としては敷居が高い。ある程度の知識のある者が、さらに理解を深めるという位置づけの本である。
出版社が化学同人ということもあり、監訳者はどちらかというと化学系のようだが、本書の訳者としてはむしろ適任だったといえよう。日本語訳もまずまずわかりやすい。