この本は“Drop the Rock” （サブタイトルはRemoving Characters Defects／Steps Six and Seven）第２版の翻訳です。原著はビル・Ｐ、トッド・Ｗ、サラ・Ｓの３人の共著で、ミネソタ州のヘイゼルデンから2005年に出版されました。 本書の最大の特徴は依存症からの回復プログラム「12のステップ」のステップ６と７、つまり、自分の性格上の欠点・短所（タイトルのロック＝岩は、短所、欠点のたとえ）を手放すための取り組みに焦点が絞られていることです。そして、12のステップの最大の目的は、性格上の欠点を手放すことを通して依存症から回復し、人の役に立つ人間として成長することですから、ステップ６と７こそが12のステップの一番大切なステップであると言うこともできます。しかし、これほどに重要なこの二つのステップが実際には充分に活用されていないと著者らは言います。ステップ６、７のミーティングで、仲間の話を聞きながら盛んにうなずくことはするけれど（原文ではnodder、つまり「うなずく人」という英語が使われています）、実践している経験を分かち合う人はごく少数であるというのです。 本書で共著者たちは、ステップ６、７の具体的な取り組み方法をわかりやすく説明しています。それは、ＡＡの共同創始者ビル・Ｗたちが強い影響を受けたウィリアム・ジェイムズが説いた法則にまで遡ることができる実践方法です。また、本書には、この方法で毎日ステップ６、７に取り組み、大きな成果をあげている仲間たちの経験が随所に盛り込まれています。（「訳者あとがき」を編集）