日本近代画壇の有名画家とその団体を追いかけた美術史としての参考書にもなるが、官と団体に流れる時間やそのスピードの違いや、団体間の軋轢、また団体内におけるポリシーや利益のぶつかり合いが事細かに記載され、どうしてそのような団体が結成されたか、あるいは解散してしまったかが非常にわかりやすく、また興味深く書かれている。美術というテーマでありながら、実にどろどろしたその裏側を、非常に人間臭い視点から展開する、まさに事件簿である。