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「戦争」の心理学 人間における戦闘のメカニズム

価格: ¥2,520
カテゴリ: ハードカバー
ブランド: 二見書房
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異常事態下の人間心理 ★★★☆☆
至近距離での銃撃戦での心理状態などが現場警官の体験談を通じて良くわかる。
感覚が異常に鋭敏だったり、視野狭窄、聴覚麻痺などの実例をみると、犯罪現場での証言の信頼性の疑問に行き着く。
射殺TVゲームの射撃習熟効果には慄然とする。
著者の考え方には批判は多いと思うが、生命の危機に際した状態での異常五感は良い参考となる。
「戦争の心理学」となっているが、凶悪犯人と対峙した時の警官のケースが主体で原書のOn_Combatの意味とはややずれている印象。
タイトルは「戦闘の心理学」がふさわしい。 ★★★★★
 軍人や警察(法執行官)が職務執行による発砲を行った際に経験する生理現象と心理状態を科学的に解明し、彼らが国家や社会を守るための殺人により心を病まないようにする処方箋である。

 誰でも至近距離からの対人発砲にはためらいや恐怖を感じる。アドレナリンの急激な上昇により、戦闘の際には大小失禁や心拍数の急激な上昇、視界狭窄、時間の流れの変化などを感じるものだ。
 逆に、戦闘終了時にはその精神状態の揺れ戻しが発生し、急に眠たくなったり、嘔吐したりする。罪悪感にさいなまれる、同僚が死んだことに無制限に責任を感じる。心の傷を適切に処置できなければ職場復帰できない。
 これらはすべて正常な現象であるため、周りは適切な処置を用意すべきと主張する。

 なお、対人発砲恐怖に打ち勝つ最大のワクチンは条件反射的に危険人物を撃つシミュレーションである。これを若者がゲームとして毎日行っていることは、大変危険であると警告している。米国で、驚くほど冷酷かつ正確に乱射事件を起こした少年達は、ほとんどがこの手のゲームを毎日行い、かつ規律正しい団体活動を経験していないとの研究結果を提示している。子供を残虐なメディアから遠ざけなければならない。
一般向けのマニュアルも欲しい ★★★★☆
邦題の「戦争」とは所謂戦争ではなく他者の暴力に対して武力で対抗する状況一般のこと。原題の「On Combat」の方が分かり易いだろう。前著『戦争における「人殺し」の心理学』では、戦場で兵士が敵兵を殺す状況に話を限定し、どんな状況下で兵士達の心理や生理にどんな変化が起きるかを詳述した訳だが、本作では一般の警察官やSWAT隊員等(著者の言葉を借りれば「法の執行者達」)、或いは様々な危機的状況に遭遇した人々(著者は最近頻発する学校での銃乱射事件のひとつに一般住民として関わったことがあるらしい)の事例を取り上げ、非常事態に於て人間がどんな振る舞いをするものかを纏めている。

一応、職業的に武力を用いる必要のある人々の為のマニュアル本として書かれた「戦士学」の本なのだが、別に銃をぶっ放したり殴ったり蹴ったりすることとは無縁の生活を送っている読者にとっても、得るところは多々ある様に思う。これを「戦場」と限定せず、切迫する危険に直面したり高ストレス状況下で何かをしなければならなくなった場合、人間の心-身に何が起こるかを解説したものだと読み替えれば、事件だけではなく事故や災害等に見舞われた人々やその救助活動に従事する人々、緊張を強いられる職場で作業をしなければならない職業の人々等にとっても有益な知見が幾つもある。阪神大地震等の経験を通じて、被災後の被災者達の心のケアに関しては日本でもノウハウの蓄積が進んでいるとは聞くが、被災「中」のことも含めてパニクらずに済む方法を総合的に解説してくれる啓蒙書を誰か書いてくれないものだろうか?

私は著者の、ひたすら戦士を賛美する立場には賛同するものではないが(前著でも気になったが、現場で戦う人間が自分の行為の正当性を確信する必要があるのは理解出来るが、世界中に火種をバラ撒いて回っている張本人の一人に国際テロの脅威がどうのと説かれたくはない)、「理解は力」と云うその姿勢は共感出来る(その力がどういった目的でどう使われるか、と云うことは別問題としても)。事例の取り上げ方が一方的で比較群が皆無だったり、具体的なデータを基にした論証が屡々省略されていたりと、若干なりとも自分の頭で検討してみたい読者には些か物足りない部分もあるが、いざと云う時の心構えをしておきたいと望む読者であれば、本書を読むことは決して無駄にはならない筈である。
極限状態で人間に何が起こるのか ★★★★★
著者の前著『戦争における「人殺し」の心理学』では、「戦場で兵士は簡単に人が殺せない」というのがテーマに有り、それを解説・証明するような内容であった。
そして本書は、もっとカバーする範囲を広げて、兵士だけでなく警察等の命に関わる仕事をしている人達が、実際に人間に向けて銃を発砲しないといけないとき、逆に相手から発砲されるときにどのような反応を取るのかを心理学や生理学から説明している。

本書は前著とは違い、読者として兵士や警察等を想定しており、これらの職業についている人達が実際に戦場に出たり銃撃戦を経験したときに起こる現象(例えば時間が流れるのを遅く感じたりとか、記憶が飛ぶとか、大小失禁等々)は誰にでも起こりうることであり、正常な反応だということを予め理解しておいて欲しいというのが目的のようである。
したがって、一般読者向けに書かれていた前著と違い、本書ではところどころ一般読者が置き去りにされる箇所があるが、前著を興味深く読めた人であればそんなに問題無いのではないかと思う。

ハードカバー600ページ超というボリュームで、全編にわたって賛成できるかと言えばアメリカと日本の(また実際に軍人である著者と一般読者との)価値観の違いによって難しいが、前著と同じく興味深く読めた。
一応『戦場における「人殺し」の心理学』の続編という位置づけのようなので、前著を未読の方は先にそちらを読んでおいた方が良いと思われる(ただ、本文中に簡単に内容の説明があるのでそこまで順番に気をつかわなくても大丈夫)。
あなたも私も「戦士」かも ★★★★☆
戦闘現場や犯罪現場における人間の生理と心理について、広範なトピックに触れながら徹底的に記述し
た「戦士学」の宣言。不適切な訓練の結果の惨劇、事後の虚脱、知覚や意識の変性状態、身を守るこ
とへの覚悟から、事後のケアまで、ほんまに広範なトピックが、徹底的に書かれてます。
マーシャルの研究は、ギデンスが紹介していたんで知ってましたけど、目鱗なお話しだらけ。

それでも、いくつか疑問点が。細かいのは無視しても、大きくは、次の2点。

その1:
応用的な性格の強い主張でありながら、応用効果が明確ではないこと。
効果があるという話しが満載ですが、導入前と導入後の比較が、曖昧にしか提示されず、事例による紹介
ばかりな傾向。
ま、これは、興味があったら挙げられているオリジナルの論文をみなさいよ、ってことかも。

その2:
データの取り方に疑問がある研究を参照していること。
例えば、発砲回数とそれを記憶していなかった事例数の相関なんか、母数をそろえないと傾向は出せない
かと。それに、事例の状況の多様性(場所、時間帯、標的の状況など諸々)から、一般的傾向を導くのに
は慎重であるべきでは。
分野固有の難しさはあるにしても、他の分野と比べると、若干妥当性に疑問。

しかしながら、本書は、むしろ「戦士」ならざる一般の読者にとってこそ有益。

考えてみるまでもなく、多くの給与生活者こそ「見えざる手」の理路を介して、この社会の維持に貢献して
います。家庭を守っている人も、学生さんも、本人の意図がどうあれ、この社会の一定の秩序を維持して
います。陸の一切れ。誰が為に鐘は鳴るって話しです。

犯罪が増えているのかどうか、軍事介入が正当化できるのかどうか、犯罪やテロには社会構造上あるいは
国際関係上、別様の対策を併行させるべきではないのか、などなど、本書にとっては外在的な批判も可
能かと思います。
が、あえてそれらの批判を無視しても、本書が「戦士」ならざる多くの市民にとって有益である点は、十分
に認められると思いますよ。

そうすべき時に、そうすべきことができるのか?
「時」と「こと」は、持ち場や考え方によって様々であれど、誰もが突きつけられることかもしれませぬ。