バビロンに行きて歌え (impala e-books)
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彼はのびやかに歌った。自分に最もふさわしい武器がM-21ライフルではなく歌であることを知って
中東の戦場を逃れて、海路で東京にたどり着いた一人の若き兵士、ターリク。パスポートもなく身を潜めて大都会をさまよいながら、たまたまロック・グループで歌って人気を得る。
彼と出会い、また別れてゆく男たち、女たち。都会の砂漠で生きる彼らの心に、故郷を思うターリクの哀調を帯びた歌声がしみとおる。
【目次】
夜の犬
老獣医
ブルー・プレート
恋の日々
夢の中の戦場
パピリオ・メムノン
静かな、誰もいない島
ローリング族の居留地
倉庫のコンサート
天井の穴から見える星
取引
都会の力
【著者】
池澤夏樹
1945年北海道帯広市に生まれる。小学校から後は東京育ち。以後多くの旅を重ね、3年をギリシャで、10年を沖縄で、5年をフランスで過ごして、今は札幌在住。1987年『スティル・ライフ』で芥川賞を受賞。その後の作品に『マシアス・ギリの失脚』『花を運ぶ妹』『静かな大地』『キップをなくして』『カデナ』『アトミック・ボックス』など。自然と人間の関係について明晰な思索を重ね、数々の作品を生む。2014年末より「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」全30巻の刊行を開始。 http://www.impala.jp