幸宏さんのこの時期の心情が、そのまま音楽となったような奇跡的なアルバムです。
それと、この時期特有のアナログシンセですが、重厚でひずんだ音色を適用、さらに重厚な響きの
ドラムが、淡々と軽快なリズムを刻み続けます。このドラム、１つ１つはドスンと重いけれども、
それがビートとなった時、心地よく軽快な疾走感を生み出しています。

僕にとって、いや、おそらくファンの方々にとっても、この作品を彼の最高傑作に挙げる人は多いでしょう。
（「薔薇色の明日」も同じくらい傑作です。←は、日本語の歌詞もあるし、少しさわやかな明るさが加わっていて、
ドラムは打ち込みのサウンドと、かなり本作とは傾向が異なります。漂うロマンティック感は共通しています。）

本作は、英語で歌われる歌詞は限りなく重々しい内容が多く、幸宏さんの歌声も重くけだるい感じですが、
重厚だが淡々と軽快に刻まれるドラムが、他のパートを圧倒していて、すごくかっこいいです。

そしてバックやコードの音色は、わざとひずんだ音色を多用していますが、フレーズ自体はロマンティック感と
おしゃれ感が出ています。このあたりが幸宏さん特有の良さだと思います＾＾

実は、発表当時はあまり好きになれなくて、じっくり聴くのは後回しにしていましたが、ユキヒロ氏の代表作でしょう。ジャパンの「ブリキの太鼓」やウルトラヴォックスの「システム・オブ・ロマンス」に近い時代の空気を感じます。テクノ色が強いのですが、やや内向きで、文字通り神経質な細かいサウンドです。歌の素晴らしさもさることながら、音の質感や、こもらず抜けの良いサウンドには、相変わらずセンスが光りますね。

neurotic (神経症的な) と romantic (ロマン主義的な) からの造語で neuromantic (ロマン神経症) ですから，病んだ魂に浮かぶロマンティックな心象風景のスケッチという位置づけでしょうか．幸宏氏のヌメヌメした歌声はまさに抑鬱的，イライラとした機械的リズム，しかしキラキラとロマンティックでクラウスオーガマンなシンセ音や，ちょっと女々しい歌詞．若い頃から神経症をわずらっていたという，幸宏氏ならではの作品と思います．「ボク，大丈夫？」や「薔薇色の明日」がある以上，ソロ作品として最高傑作とは言い切れないまでも，秀逸であることは間違いないでしょう．以上、絶版だった頃のコメントを、再発売のお祝いとして転記しました。

私はテクノを聞き始めてからかれこれ三十年以上になりますがこのアルバムが出た当時の音楽性のレベルの高さは今のクラブ形のDJたちに勉強の意味で聞きまくってほしい。アコでも電機でも当時のアーティストたちはマルチナ人が多かった。それぐらいレベルが高かったように想う。また松茸さんのようなかたも今では伝説の人である。今までいろんなクラブ形は聞いてみたが最近のテクノDJたちに当時の彼らのような芸当が果たしてできるだろうか。疑問である。

本家YMOのサブテキストとも言われているるアルバムですが、
「サブ」なんてとんでもない。
どっしりとヴォーカルを真ん中に据えた本盤こそ、超ドラ
イポップの大本命です。

「Glass」は１曲目。とにかくドラムが鋭い！