この本は、訳者が素晴らしい。はっきり言って、ユダヤ人にしかおそらく通じないと思われる単語や文、背景が頻出するため、意味が伝わりにくい。特に、最後の章「名前の記憶の仕方」では、もはやユダヤ人しか伝わらない手のほどこしようのない文章になってしまっているが、それ以外では訳者が奮闘し、かなり分かりやすくなっている。この本で、一つ単語を覚えた。「キパ」だ。訳者にとっては自明のことであるためか、何も解説していないため、本を読み終えるまで何のことかよく分からなかったが、調べてみると潰れたような帽子のことを指すらしい。
個人的に興味を引いた話がノートのとり方だ。ユダヤ教のノートの書き方というのは、始めにノートの真ん中に線を引いて、1行を短くして書くらしい。これを読んで「おやっ?」と思った理由は、僕のボスも同じ方法を採用していたからだ。但し、彼の場合はノートを半分に折ることで、線を引く代わりにしているが。
全体としての感想だが、いわゆるハウツー本であるのに、物語形式でよく書いたなと思う。勉強法に興味があって、ユダヤ人を自慢しまくる話し方に我慢できる人ならば、読んでみる価値はあるだろう。
歴史上彼らほど迫害を受けた民族があっただろうか?
そんな彼らが最後に頼ったもの
それが人間の能力です。
そんな記憶法を教えてくれる本です。
記憶術は共通ですね。