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情報と国家―収集・分析・評価の落とし穴 (講談社現代新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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技術的な分野の説明が秀逸 ★★★☆☆
 この筆者は兵器マニアだという偏見を有している人は少なくないと思われるが、該博な知識に裏付けられた冷静な分析には定評がある。本書はこれまで筆者があまり論じてこなかったインテリジェンスをテーマとするものだったが、この分野でも筆者は豊富な知識を披露しており、あらためて筆者の博識に驚かされた。筆者は理系出身ということもあって、技術的な分野の分析を得意としており、本書においても、衛星画像や電波情報収集に関する説明は、技術的な論点を的確に踏まえたものであり、秀逸だと思った。

 ただ、この筆者の作品に往々として見られる問題なのだが、知識、特にエピソードを羅列しただけ、という面が本書においても見られる。イミントに関しては多くのページを割いているものの、ヒューミントに関してはその重要性を訴えておきながら、分析らしい分析は一切なく、片手落ちのような気がした。また、本書の後半部で筆者は延々と弾道ミサイル(筆者の得意分野だろうと思われる)に関する分析を行っているが、これは冗長に過ぎるのではないか。
職を賭してまでは異議を唱えない・・これが真の原則 ★★★★★
判断の材料として情報を集める時、その過程を知ると知らないとでは大きな差が生じる場合がある。
情報やデータには様々な側面があるが、作り、集めるのは人である。
情報を集めるとき、また使う時には深い洞察が必要になるが、政治・軍事情報を例にその実態を示している。
まさに専門家の視点を提示した良書。
情報の評価分析を誤るな ★★★★★
情報収集を行い、それを元に分析し評価することがインテリジェンスの基本である。しかし、インテリジェンスの分析・評価の仕方が間違っていたとしたら、結果としてどのような事態が待ち受けているだろうか?
 本書は、情報を収集・分析・評価するときの落とし穴について論じている本である。イラク戦争のときCIAは、「イラクは大量破壊兵器を持っている」との情報をもって米国がイラク戦争へ突入するという事態となった。しかし、その後CIAが主張したように「イラクには大量破壊兵器を持っている」との情報は誤りであったことが、後々にイラク国内に大きな混乱と政情不安をもたらしたのは言うまでも無い。
 ともすれば、組織活動においても情報の収集・分析・評価といういんてりじぇんす・サイクルを実施するわけだが、果たしてその分析・評価が間違っていたらどうなるかということを改めて考えさせられる著作であると思う
情報に関する考え方を学ぶために今読むべき本 ★★★★★
確かに帯に書かれた「これが正しい情報の読み方だ」は言いすぎだけど、イラク戦争で米国がどのように、情報の収集、処理、分析、評価の過程で過ちを犯したかがよくわかる。
例えば収集。大量破壊兵器の保有、テロリストと関係ありとの証拠の収集を指示した。しかし収集する情報の種類を特定したという誤りがある。そのためにイラクが大量破壊兵器を持っていそうにないという情報は切り捨てられることになった。
このように、今だからこの本に記された事例が理解しやすいと思う。
Data、information、intelligenceの違いがわからない人には理解できないかもしれないが。
面白みもなく。 ★★★☆☆
いわゆる判断を下すという意味での、情報リテラシーの本である。

主体は国家。対象は情報。題材はイラク戦争。目的がなければ情報は処理できないが、目的に囚われると客観的情勢が見えなくなってしまう。情報に判断をくだすということにおいては、至極基本的なことであり、本書に新鮮味はない。

日本では広まっていないとする、情報をインフォメーションとインテリジェンスに分けて論じるという面では多少価値があるが、概念的には衆知のものである。

あえて国家に関する内容といえば、日本には国家情報機関がないというあとがきの内容ぐらいだ。