最高の演奏
★★★★★
サラサーテのカルメンが聞きたくて、アルバムを探していたら、この作品に行き当たりました。お目当てのカルメンはもちろんですが、1曲目の「ツィゴイネルワイゼン」から圧倒されました。何というテクニック、何と深い感情表現。ムターの素晴らしさとともに、ヴァイオリンという楽器を見直しました。傑作だと思います。
ムターの真骨頂
★★★★★
【ツィゴイネルワイゼン】
言わずと知れたヴァイオリンの名曲。もう耳にタコができるほど数々のヴァイオリニストの演奏を聴いたが、ムターのこの演奏は抜きん出て凄い。曲想が濃厚なだけにムターには打って付けなのだろう。豚骨のように粘り絡みついてくるが喉ごしは爽やか。聴く時のタイミングにもよるが、出だしから引き込まれてしまえば、曲の中にのめり込んだまま演奏終了まで出てこれなくなるだろう。
【悪魔のトリル】
このチャーミングな名を持つヴァイオリンソナタが、今まで聴いたすべての曲の中で一番好きかも知れない。作曲者タルティーニの夢枕で悪魔が弾いた曲という逸話も、あながち作り話ではないようにも思えてくる。それほどまでに、この世のものと思えぬ怪しい美しさを持つ曲だ。霊感という言葉は、あまり日常的に使われないが、この曲にこそふさわしい。深淵な短調の旋律には神的、霊的なものを感じずにはいられない。
さて「悪魔のトリル」、誰の演奏で聴こう。ここはやはり、グルミョーかムター。ムターの演奏は非常にアクが強いものだが、それがこの曲には絶妙にフィットする。まるで彼女のために書かれたのではと思わせるほどだ。
凝り過ぎ
★★★★☆
名人と名門の競演として期待して聴いたのだが、ヨーロッパでは繰り返し演奏される曲のためなのか、独創的な演奏を求められたのか、彼女の苦悶の結果の演奏では難解な解釈と技巧が若干前に出たきらいがある。
男性独擅場であった第一バイオリンの座をヘルベルト・フォン・カラヤンに与えられた彼女は、確かに一流のバイオリニストに育ったしその様な評価も受ける名バイオリニストではあろう。しかし、その肩書が彼女に心理的変化を与えたのか、その後の彼女の演奏はどこか悩み続けているように見える。
ヨーロッパでは数少ないソリストなのだからもう少し頑張って肩の力を抜いて(決して手を抜くという意味ではなく)頑張っていただきたい。よって星四つ。
DGのベストセラー
★★★★★
DGの歴史の中でこれほどまでに売れたアルバムはないといわれるほど、内容の濃いアルバム。レヴァイン&ウィーン・フィルというバックを得たムターがまさに「水を得た魚」の如く、のびのびと弾いている。
特にお勧めなのがカルメン・ファンタジーです。オーケストラとムターが会話をしているかのように弾いています。
お気に入り
★★★★★
ムターとウィーンフィルの組み合わせ。最強のバックを得て、一層ムターの腕が冴えています。メジャーな小品なので多くの録音が世に出ていますが、この演奏は群を抜いて良いです。かなりのお気に入りです。