今回のベスト盤に「リフレッシュメント・アンド・メディテーション」と副題がついているのも、「体に効くクラシック」を強くイメージさせる意図があってのことに違いない。1枚目の「リフレッシュメント」は、疲労回復を図り、元気を出すための音楽といったところ。バロックからガーシュウィンまでの名曲から、主にキビキビとして明るいものが選ばれている。アクセントになっているのは、ヴァイオリンのイヴリー・ギトリスが弾く「美しきロスマリン」。ポルタメントを多用したアクの強いスタイルで、思わず耳を傾けてしまう。
2枚目の「メディテーション」は瞑想へのお誘い。といっても、暗い部屋で考え込むのではなく、ヨガかなにかの肉体的鍛錬をともなった瞑想だろう。こちらもバロックからサティまでと幅広い選曲だが、短調の曲が多く、おおむね遅いテンポだ。その中で、ナージャ・サレルノ=ソネンバーグが弾くメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲第1楽章が、本人のキャラクターを裏切る意外な可憐さ(!)で聴きものになっている。(松本泰樹)