少女たちのワルプルギスの夜 ーかたつむりとかわうそとー
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魂の上澄み液のような物語。
湖のあずまやでのパイナップルソースをつけたスパゲッティのパーティにはかわいそうに”"うさぎははいれません”。
そして”オレンジ色のものは”なにも身に着けてはいけないのである。”パンティでもだめなのよ”
森茉莉の日記でよく名前を見る詩人の白石かずこの訳。本国では1975年に発表されているようであるが、早くも翌76年には邦訳されているのをみても、
この少女たちのワルプルギスの夜、
WHEN THE SKY IS LIKE LACE
世界が紫色に染まる”ビムロスの夜”に、
魅入られた人が多数いたのであろう。
もしあなたが絵本を1冊もいまは持っていないとして、
1冊目に買う本として、お薦めの本である。
ビムロスの夜だけニンゲンになれそう。
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一家全員のお気に入り。完全忠実ロボット。弱っちいけどやなこと言わないから守ってくれる。それで良かったのに自立を迫られた時潰れた。
「人ってお金を使ったりめんどくさい喜怒哀楽を抱えています。いてはいけないはずです」
事実なのに、親が「いていい」と言いさえすれば存在できる不思議。
食べ物が怖くて何も食べられない…本当に死んでしまう…不安…動悸…怖い!!!
の時これを読んで助かった。
あなたは大事…みんな同じ…あれは良いこと悪いこと…。
言われるままの頭でしか理解できないならみんな嘘。たぶん他の子も空っぽだから死んじゃうんだと思う。
「かたつむりはみんな同じ」「みんな同じってどういう意味だ!」
「ケーティはなんにもしなかった♪なんにもしなかった♪誰が言ってもウソ〜♪」
『さあこれに自分でメロディーをつけなさい。きまったメロディーはありませんから』。
ビムロスの夜だけホントになれる。いいも悪いもないけれどみんな可愛い良い子のまま。
こんな夜を、
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夏が終わり、秋が近づき、肌の寒さを少し覚える頃、奇妙に静かで、奇妙に生暖かい夜を体験することがあります。夕刻の時間がいつもより長いと感じていたら、いつの間にか月が、昇っている。上空の雲は意外なほどの速さで流れているのに、風はそよとも吹いてはいない。「白夜というのはこんな感じなんだろうか。こんな感じだったらいいな。」、「月明かりでできた影はなんだか生きものみたいにみえるな。」、・・・ そんなことをぼんやり思っているだけでなんだか奇妙に楽しい夜。少女たちと、かわうそたちが輪になって踊っている。あそこでクーニーも見ている。僕らはここから見ていよう。
ビムロスの夜には、・・・ 誰とも一言も喋っちゃいけないというルールを追加して。
青紫色の夜
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まさに五つ星!の絵本です。夜を描いた絵本は数多くありますが、その中でも特に印象に残る素晴らしさです。どのページも美しく幻想的な青紫色の夜。空がレースに見える「ビムロスの夜」はかわうそが歌い、草はクズベリージャムの匂いがします。他にも、食事やゲーム、きまりごとなど、空がレースに見える夜は素敵な不思議がいっぱい!誰でも一度はこんな素敵で美しい、不思議な夜がくることを祈らずにいられないでしょう!本当に素晴らしい絵本です。