実際の介護に大いに役立つ名著
★★★★★
実際に親の介護にあたり、何度もこの本に助けられ導かれました。この本の内容は斉藤先生のお人柄そのままで誠実そのもの。人の役に立つ名著です。
認知症介護の見通しがつく
★★★★☆
釣書にもあるが,痴呆性疾患の始まりから終末期(死去)に至るまでの,多くは子の世代である介護者が知るべき知識や心構えを,親切に盛りだくさんに述べた本。モデルケースで作られた山中さんという一人の男性の,「あれ,おかしいな」という病気の気付きから,臨終までを14のステップに分け,そのエピソードで全編を通すと共に,各ステップで取り得る医療や,介護の仕方・コツなどについて詳述するという構成を取っている。
細かい字で250余ページをぎっしりと埋めてあり,医療機関や介護機関の種類,社会制度の説明など,細かすぎるな,と感ずる部分もある。しかし,あれも伝えなければ,これも入れておかなくては,という著者の介護者思いの良心的な姿勢が出た,と言えるだろう。
何よりも良いと思ったのは,これで親が痴呆になった場合の将来の全体的な見通しが得られる,という点である。親が痴呆になると,一体何が起こるのか,どのように病状が進行して行き,必要な介護は何で,それに伴ってどのような生活の変化が想定され,介護者にはどのような心構えが必要か,という全体像が得られれば,介護者も先の分からない不安を少しでも緩和できるだろう。また,病状の進行による各ステップにおいて,いろいろな医療・介護機関も存在し,公的な保障制度もあるようなので,介護者になりうる立場の者も少し安心できる。
「最後の迎えさせ方」にも必要な判断があり,介護者になりうる者は考え始めておいてよいだろう。
なお,この本が出された平成17年(2005年)当時では「痴呆」という言い方が一般だったようだが,今日では「認知症」と言い直されており,今「痴呆」というと少々きつすぎるかも知れない。
「ボケるが勝ち」ではない。しかし、「ボケたらおしまい」でもない。
★★★★☆
「ボケる」ってどういうことなのかを知りたい人のための入門書
痴呆性疾患の経過と事例を時間軸で追いながら、そのとき、本人は、また介護する家族は、 どうしたらよいのかについて解説しています。
特に以下のように考えている人にお勧めします。
1 アルツハイマーの人は自分の物忘れに気づいていない。
2 回りに迷惑をかけていることもわからなくなって気楽なものだ。
3 ボケてしまったら、もうおしまいだ。
私は、父のボケをみていたので、ボケた人が気楽でないことを知っていました。父は自分の失敗に気づき、それを取り戻そうとして、さらに失敗を繰り返しました。だから、ボケている本人が一番辛いということが、よくわかります。著者が言うように失敗させない工夫が必要だったわけです。しかし、私にはそんなゆとりはありませんでした。そして、不幸な父を見て、人間はボケたらおしまいだと思ってしまいました。この私の絶望が、父をさらに不幸にしていたのかもしれません。
だから、アルツハイマーは不治の病だが、勇気をもって立ち向かえば、病気が進行しても自分らしさを保って生きていくことができるという著者の主張にとても励まされました。困難にあっても生きている限り、絶望してはいけない。困難な中にも、希望を持ち続けることが絶対大事。次の困難がめぐってきたとき、私にそれができるかどうかはわかりませんが。
内容が少し古いけど
★★★☆☆
認知症という言葉が定着する以前の著作なので、アルツハイマーや痴呆症という言葉が頻出しています。その点さえ気にならなければ、例を上げての説明の読みやすさなど、家族介護の初心者には好著と思います。
何から始めればよいか分からない人に。
★★★★☆
本書は,異変に気づき,でもそれに対して何から始めれば良いか分からない,と感じている人にお薦めできます。
ただし,本書だけで全て必要な知識が得られるわけではありません。ネットなどあらゆる資源を活用して,あなた自身が対応イメージをきちんと持って行くことが必要です。
しかし,それに取りかかる気力すらわかないとき,本書は良き導入者となってくれるでしょう。