凍える世界。
★☆☆☆☆
『瀬戸大橋』がすべてのカギを握る事件。幼い頃、車で渡ったので、懐かしかった。しかし、開始2ページ目でわかるメイントリックと、あまりにも寒くて、思わず本を閉じてしまうギャグセンスのやりとりは駄目すぎる。軽妙と軽薄は違うのでは。
本格とユーモアの融合
★★★★☆
初めコテコテの館物を読みたくなり、ネットで情報を集めていたのにタイトルのせいもあるんですが、なぜかこの本にたどり着いてしまいました。
ユーモアがある。でも本格。という感想をきいて中途半端な作品なのではないかとおもい読みはじめたのですが、とんでもないです。
ミステリとしての完成度は高いし、それなのに読んでて声をだして笑ってしまうシーンもあり、とても読みやすい。こんな小説を呼んだのは初めてでした。
結構大胆な、人によっては無理があるとおもうかも知れないトリックには、好みがあるとおもいますが、ぼく的にはOKでした。
まあ、固くるしいミステリばかりよんでる人の息抜きにいかがでしょうか。
この作者にハマってしまって、コテコテに戻れなくなるかもしれませんが(笑)かく言うぼくもハマりそうです。
楽しめる本格
★★★★☆
東川篤哉初挑戦でしたが、色々と楽しめる良い作品でした。
普通にギャグで笑わせてもらいました。
スラップステックなだけではなく、トリックもまずまず見事。
「十角館の殺人」や「斜め屋敷の犯罪」風な雰囲気を持ち
ながらも、笑わせるだけしっかり笑わせ、伏線もきっちり回収
しながらトリックを決めるバランスが、非常にうまいです。
トリックは好みが分かれると思いますが、ユーモアミステリー
が好きな方ならお勧めです。
謎のユーモア
★★★★☆
2005年に出た単行本の文庫。
独特のユーモア・ミステリである。癖のある登場人物と、コミカルな会話と展開。楽しく読み進めることの出来る一冊であった。そして訪れる驚愕の真相。人を食ったというか、馬鹿馬鹿しいというか、良くこんなことを考えついたものだと感心させられる。
解決部分があっさりしすぎて弱いのが不満だが、それでも、このトリックだけで読む価値はあるだろう。
楽しい「孤島の館」もの
★★★★☆
ユーモア・ミステリ仕立てで「孤島の館」ものに挑んだ意欲作。「孤島」と本格的な「館」を両方織り込んでいる点が凄い。トボけた味と奇想天外なトリックで読ませる。
天才建築家で会社社長の十文字が瀬戸内海の横島に建てた六角館。その六角館の螺旋階段で十文字が墜落死(転落死ではない)していたと言うのが発端。島には六角館より高い建物はないのに、六角館の周辺に墜落死跡がないのが最初の謎。半年後、未亡人の康子は事件関係者を館に集める。十文字の息子三人は異父母兄弟で、勿論仲が悪い。会社の跡目争い。そして、十文字家の縁の淑江夫人の美貌の娘、奈々子を狙う男達。動機に満ち溢れている。典型的なパターンである。本来なら緊張感が溢れる所だが、探偵役を務める刑事の相馬と飲んだくれの女探偵沙樹が漫才コンビのようで、むしろ笑いに包まれる。この二人の掛け合いで物語が進んで行くのだが、嵐によって島が孤立する中、「ユダの窓」を思わせる密室殺人、十文字と同様な墜落死事件と不可能犯罪が続く。だが、奈々子と沙樹の両方を狙う相馬の迷走で読者に的を絞らせない。ユーモアでトリックを包んでしまう手法が巧み。本当に事件は解けるのか...。
メイン・トリックは、「そりゃ〜ないだろう」と言うものだし(本作のムードには合っているが)、結末で沙樹が突然、名探偵に変身するのは唐突の感があるが、冒頭からちゃんと伏線を張ってある点が見事。社会問題を意外な形でトリックと結び付けている点も買える。二番目の事件を他の事件と同じ手法で解決している点も美しい。「孤島の館」ものをユーモア溢れる筆致で描いた楽しい作品。