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香乱記〈4〉 (新潮文庫)

価格: ¥546
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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異なる視点 ★★★★☆
項羽と劉邦が主役の時代。
斉を再建した田氏三兄弟の話。

項羽や劉邦を第三者的に描いており、
視点が変われば善悪も変わるのだと
実感することができます。

主人公は、歴史の主役ではないために
その時、項羽や劉邦が何をしていたか
ということが併記されています。
そのため、主人公の影が薄くなることが
多く、作者の苦労がうかがえます。
真の王、勝利者は項羽でも劉邦でもなかった。。。感動の最終巻 ★★★★★
宮城谷昌光さんは大きな作家、とおもいます。古代に想いをはせ、充分な歴史的資料がなくとも、その壮大な世界をおそらく歴史の登場人物と魂の交流までおこなって、現実の文学に体現してしまう、稀有なひとなのでしょう。

項羽と劉邦の時代、15年前、司馬遼太郎さんの名著をよんだとき、殺戮者と偽善者ばかりが勝利者となる史記の時代に、福音はなかったのか、とずっと頭にのこりました。

その答えがこの小説です。
田横という古代中国斉の国王の末裔が、一地方の、まっすぐで、ひたむきにいきる、爽快で、そして高潔な若き俊英としてひとびとの輿望をあつめ、始皇帝の秦でときをすごし、やがて再興した斉の最後の、そしておそらくこの国の太祖である太公望や、また春秋時代に覇者となった桓公におとらない最善最高の名君として、中国全土の人々の心に刻印される永久不滅の英雄となるのです。

終盤、漢帝国初代の皇帝となった劉邦が、田横にだけは一目も二目もおき、哀悼の意を表する史実が紹介されています。人間の格があまりにもちがいすぎる、と本能的にわかったのでしょう。そしてラストシーンは実話かどうかわからず宮城谷さんの田横へのおもいやりかもしれないが、涙なくして読めない、武人同志の美しい友情の一場面となっています。

これを読みまして、いきかたに反省させられ、またとてつもなく励まされました。
これは清潔に生き、ひとびとの賞賛をかちえたひとりの英雄をかたった、傑作中の傑作です。
★★★★★
まさに漢の中の漢なのだろう。田横は最後まで正義を貫くことで、国を守り抜いたと言えるだろう。死してなお生人を怯えさせることが出来る。諸葛亮孔明よりも前の話だ。この中では項羽も劉邦も脇役に過ぎないのだ。
敗者もまた英雄 ★★★★☆
楚漢戦争時代の英雄の一人、田横の物語。
勝者は敗者より優れている、という一般的な歴史観と違う視点で描いていく。その為か、この本を読んだ後には劉邦・項羽・韓信等のイメージが変わっていきます。
日本人は判官びいき的なところもあるし、その上、不屈を地でいく田横のような人間には魅かれていくと思います。
こういう例え方はいけないのかもしれませんが、日本の戦国時代の武将に例えると真田幸村かなぁという印象を持ちました。
とにかく魅力あふれる男の物語でした。死に方がまた凄まじい・・・。
「なるべく戦争はしたくない、戦争は無い方が良い」 ★★★★★
秦の滅亡から漢王朝へという時代ということになると、項羽と劉邦の楚漢戦争に終始してしまい、鴻門の会といった場面くらいしか目に浮かばない。ところが、この「香乱記」を読むと、そんな単純なものではないことが良く解る。
この小説は、項羽、劉邦だけでなく、そこに田三兄弟の生き方、考え方を対比させる。もちろん、この他の人物の生き方も比較されているが。主人公田横は、「なるべく戦争はしたくない、戦争は無い方が良い」という領内の住民の立場に立った考え方をしている。その為に、実際、斉は一時期素晴らしい国になる。ところが、一人斉だけが平和を謳歌することは許されなかった。戦乱の世は、力の世界であり、権謀術策の世界だった。いかなる強者にも屈しない「不屈の精神」だけでは通用しなかった。これが平和な時代であったなら、この田横の考え方、姿勢は非常に大きな力となっただろう。
毎回のことながら、宮城谷昌光という作者の視点の大きさ、広さを感じる作品だった。この紀元前の世界の知識、経験は、現代に生かされなければいけないのだろう。