インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

帝国の昭和 (日本の歴史)

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
開戦に至る経緯は説得力あり ★★★★☆
日米開戦に至る過程は「各政治勢力がその時その時の最悪の選択を避けようとして行った決定の積み重ね」であり、「誰が主導者であったかよりも、そのような曖昧な決定の連鎖が、どのようにして開戦という決定的な選択に結びつくのかを明らかにすること」が大切であるとする主張は説得力がある。ただ、著者自身述べているように、前半部分は「何か特定の結末に向かって進む道筋という叙述の仕方は採用していない」ので、時代背景等についてある程度予備知識のある読者でないと難解と感じるかも。
キーワードは「革新の光明」「モダニズム」 ★★★★★
本書とほぼ同時代を扱った北岡伸一『政党から軍部へ』(中央公論新社)が、政治・外交・軍事を叙述の軸にすえた良い意味でオーソドックスな構成だったのに対し、こちらはより凝っている。

いろいろな意味で戦前の昭和史を記述するのは難しい。そもそもなぜ、当時の日本はあれほど対外戦争に明け暮れたのか?それをまたどうして、当時の日本人は右も左も関係なく翼賛していくことになったのか?
この疑問に応答するために、「軍刀をガチャつかせた横暴な軍部に無知無力な大衆は引きずられたのだ」といった、現代にあってなお多くの人が漠然と抱くイメージに著者はほとんど頼ろうとしない。
著者の提示する回答のひとつは、ある意味拍子抜けするものだ。当時は「誰も戦争が愚かだとも悪だとも思っていなかったからである」p8。
さらに重要なのは、当時の対外戦争が要求する総動員体制(合理化・組織化)の波が、マルクス主義を潜り抜けた日本人に「後進的・封建的な」日本社会を一気に高みへと引き上げる逆転ホームランだと観念されることとなった、という指摘だろう。
資本主義の没落・革新の光明・近代の超克といった諸々の概念がリアリティを持って知識人や官僚に訴えかけていた、そんな時代だった。

マルクス主義とナショナリズムとの親和性、戦時体制とモダニズム・・現代人から見れば不合理で不可解でしかない昭和戦前期という「外国」への「方法論的帰化」を試みてみたい、と言う著者の提示する視角は既成観念から自由であり、スリリングでさえある。やけに醒めた文体も印象的だ。前述の北岡本と一緒に読んでおきたい一冊。