ヌーヴォー・セルクル賞、アンバサドゥール賞を受賞
★★★★☆
ルイ14世の二度目の、けど公には出来なかったので内縁の妻だったマントノン夫人についての、彼女自身の回想記という形式をとった伝記的小説。
まぁ、表紙にシャンデルナゴールって書いてあっても、勘違いしてホントにマントノン夫人の回想録だと思って買ってしまったんですよね。けど、実際読んでみて、よく出来てるなぁと感心しましたよ。
本書の20パーセントはマントノン夫人自身の文章、40パーセントは同時代人の回想録から採ったそうな。シャンデルナゴールは「マントノン夫人の文章を模倣しつつ、十分な時代考証を踏まえた具体的記述を織りまぜ、全体を単なるつぎはぎではない一貫した語りに再構成」しております。なので、史的好奇心も満足させうるかなり歯ごたえある小説となってます。
宮廷モノですがさらさらと読めます
★★★★☆
海外文学を読まない一つの理由として、
横文字名前が大きな壁になっているのは確かなことらしいです。
しかも、
宮廷モノは、一人の人間を、本名・愛称のみならず、
官位やら役職やら領地やらで呼ぶので、難易度が高い(笑)ものです。
この小説の場合、そのあたりが比較的わかりやすく書いてあり、
思っていたよりさらさらと読めました。
ヒロインは、太陽王ルイ14世の晩年の王妃だったという実在の人物です。
才色兼備をアピールしているところがたまに興ざめではありますが、
当時はそんなものだったのか〜と読むのは一興かもしれません。
貴族出身とはいえ、貧しい境遇から上り詰めた女性なので、
フランス宮廷の世界だけではなく、
パリの猥雑さや西インドの植民地の様子などが描かれているところは新鮮です。
多分、ルイ14世がわかっていると更に面白くなるので、
あらかじめ関連する書籍や映画(Ex.「王は踊る」)とか適当に観ておくことを
オススメします。
※文庫本にしてはお値段が高いのが難点...